研究課題/領域番号 |
15K10202
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
小林 省吾 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 副部長 (30452436)
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研究分担者 |
後藤 邦仁 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10362716)
冨田 裕彦 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 主任部長 (60263266)
秋田 裕史 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 医長 (70528463)
井上 徳光 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 総括研究員(腫瘍免疫学部門長) (80252708)
高橋 秀典 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 副部長 (90601120)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 胆道癌 / 化学放射線療法 / 外科治療 |
研究実績の概要 |
本邦に多く、欧米諸国でも罹患率が増えている一方で、外科切除とゲムシタビン+シスプラチン併用療法以外の有効な治療が開発されていない胆道癌に対しては、臨床および基礎に関するわれわれのこれまでの検討から、術前化学放射線療法が必要と考えている。これまでの研究の中で、胆道炎症が癌の進展・転移や化学療法抵抗性に関与していたこと、術前化学放射線療法後では局所リンパ節転移率が低かったことから、本研究においては、癌主病巣と進展・局所リンパ節転移部における化学放射線療法の抗腫瘍効果の違いを、われわれが解明してきた胆道癌における癌治療抵抗性のメカニズムを中心に検討するともに、それぞれの癌進展の違いについても明らかにすることを目的としている。これまで、化学放射線療法後の胆道癌切除症例の蓄積を行い、化学放射線療法後に切除を施行した切除可能、切除不能胆道癌55例を解析した。さらに、術前ゲムシタビン併用化学放射線療法27例を手術単独群79例と比較して、臨床病理学的背景の違いを明らかにした。また、術前画像診断を用いて症例をマッチングさせ、IPTW解析を用いて治療選択のバイアスを最小限とし、術前ゲムシタビン併用化学放射線療法の有効性を示した。そして、術前化学放射線療法を、現在の標準治療であるゲムシタビン+シスプラチン併用化学放射線療法へ拡大し、検討を開始した。本研究においては、術前化学療法群も必要となるが、術前化学療法例15例を経験したため、予定していた検討に加えて、放射線の有効性についても検討することが可能となった。今後の研究において極めて重要な、術前化学放射線療法の有効性を証明し、病理学的検討のための症例設定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、化学放射線療法後の胆道癌切除症例のさらなる蓄積を行うとともに、術前ゲムシタビン併用化学放射線療法27例を手術単独群79例と比較して、臨床病理学的背景の違いを明らかにした。また、術前画像診断を用いて症例をマッチングさせ、IPTW解析を用いて治療選択のバイアスを最小限とし、術前ゲムシタビン併用化学放射線療法の有効性を示した。そして、術前化学放射線療法を、現在の標準治療であるゲムシタビン+シスプラチン併用化学放射線療法へ拡大し、検討を開始した。本研究においては、術前化学療法群も必要となるが、術前化学療法例15例を経験したため、予定していた検討に加えて、放射線の有効性についても検討することが可能となった。今後、これらの切除検体を用いて、免疫染色等の研究を推進する。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策としては、これまでの術前治療を行った切除検体と、本年度に設定した適切な対照群を用いて、原発巣および局所転移巣や癌先進部における化学療法または化学放射線療法の効果の違いについて、臨床病理学的および分子生物学的な検討を進める。なお、次年度においては、切除検体の薄切、免疫染色を行う予定であるが、切除検体の選出は終了しており、薄切の手配も行った。次年度は免疫染色と解析が主な実績となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、さらなる症例の蓄積とこれまでに施行した化学放射線療法後の胆道癌切除例の臨床病理学的解析およびその発表・報告が主な実績であった。免疫染色等は、症例を蓄積したあとに検討することが望ましいため、本年度は症例の蓄積と適切な対照群の設定を主な実績とし、次年度に行う予定である切除検体の薄切、免疫染色等の分子生物学的解析に費用を充当することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
これまでに施行した、化学放射線療法後の胆道癌切除例は50例を超える。適切な対照群としてはおよそ100例をマッチングさせたため、胆道癌150例の検討を今後行うこととなる。予定していた症例数の倍以上を検討することとなる上に、化学療法後の胆道癌切除例を検討に追加することとなった。検討する項目はこれまでのわれわれの研究からTGF-smad, IL6-stat、PI3K-Aktなど多岐にわたるため、複数の分子生物学的検討が必要となり、本年度までの費用の差額分が次年度に必要となる。
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