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2016 年度 実施状況報告書

機械的補助循環症例における後天性フォンウィルブランド病の実態解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K10204
研究機関東北大学

研究代表者

藤原 英記  東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (20747117)

研究分担者 齋木 佳克  東北大学, 医学系研究科, 教授 (50372298)
秋山 正年  東北大学, 大学病院, 講師 (80526450)
河津 聡  東北大学, 大学病院, 助教 (80633685)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードvon Willebrand factor / 後天性von Willebrand症候群 / 補助人工心臓 / 出血合併症 / vWF large multimer index / 消化管出血 / Shear stress / ADAMTS13
研究実績の概要

本研究の目的は、vWF mulrimer及びその関連因子の変化が、出血合併症の指標になるか否か検証し、さらに後天性von Willebrand 症候群発症に対する補助人工心臓の機種に差があるか明らかにし、人工心臓治療の向上に貢献することを目的としている。
後天性von Willebrand 症候群はvWF large multimerが欠損することが原因であり、その診断は特殊なWestern blottingによりなされるが、これが手技的に非常に困難であるために日本でも実施可能な施設は限られている。まずこれを我々は実施可能とし、さらに新たな定量法(vWF large multimer index)を導入することで、今まで以上に精度の高い重症度の比較が可能となった。以上の解析法、定量法を用いて当科で植込みを行った植込み型補助人工心臓23例の出血合併症の発生とvWF large multimer indexの関係を解析した。23症例の全例においてvWF large multimerが低値であり、すなわち、全例が後天性von Willebrand症候群を発症していたことが明らかになった。また消化管出血を起こした6症例とそれ以外の症例17例について検討したところ、消化管出血症例では有意差を持ってvWF large multimer indexが低値であり、そのほかの凝固因子では差を認めなかった。また軸流型と遠心型の2種類の補助人工心臓が現在用いられているが、軸流型の症例の方が有意差を持ってvWF large multimer indexが低値であった。以上より、vWF large multimer indexが補助人工心臓における消化管出血発症リスクである可能性が示唆され、また機種による差異も明らかになった。本内容を第80回日本循環器学会総会他に発表し、現在は論文投稿中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

後天性von Willebrand症候群が、出血合併症の一因であるとの指摘は現在までもなされてきたが、vWF large multimerの定量法は確立されて来なかったため、どれだけ出血合併症に寄与しているかは不明であった。我々は新規に定量法を導入して解析することで、その重症度を正確に示すことに成功し、その値が消化管出血発症のリスクとなる可能性があることを示した。このことは今までになかった事実を明らかにしたことであり、達成度としては概ね順調と考えている。

今後の研究の推進方策

補助人工心臓装着症例における消化管出血と後天性von Willebrand症候群の関連が明らかになる中で、同一のデバイスを装着した症例の間で、駆動条件も同様であったとしてもvWF large multimerの欠損の程度は様々であることも分かってきた。そこで我々は、vWF large multimerの脆弱性には個体差があるという仮説を立てた。この仮説が成り立つのであれば、術前にvWF large multimerの脆弱性を検査にて調べることにより、その後の補助人工心臓の機種選定に利用できる、または未来の補助人工心臓開発に大いに役立つと考えている。
vWF large multimerは早い血流の中で生じるshear stressにより構造変化を来たし、特異的分解酵素ADAMTS13によって分解される。少量の血液に一定のShear stressを安定してかけることができるのならば、その血液を解析することにより、vWF large multimerの脆弱性測定することができる。 現在このような検査体系を確立することにより、vWF large multimerの脆弱性の個体差について明らかにすることを目標として、実験を行っている。

次年度使用額が生じた理由

当初、血液にshear stressをかけるに当たって、市販の機械を購入する予定であり、そのために予算を取っておいたのであるが、実際に業者からデモ機を借りて実験を行なったところ、本実験には不適であることが判明し、購入を取りやめた。そのため、繰越金が生じてしまったことが大きな理由である。

次年度使用額の使用計画

現在実験は、産業総合研究所(つくば)にある自作の特殊な機械を用いて行なっている。主に予算は消耗品の購入や機械の整備、また研究所までの交通費などに使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 植込み型補助人工心臓における後天性フォンウィルブランド病2016

    • 著者名/発表者名
      坂爪公
    • 学会等名
      第38回日本血栓止血学会学術集会
    • 発表場所
      奈良市・奈良春日野国際フォーラム甍
    • 年月日
      2016-06-18 – 2016-06-18

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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