研究課題/領域番号 |
15K10205
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
安達 理 東北大学, 大学病院, 講師 (30375092)
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研究分担者 |
齋木 佳克 東北大学, 医学系研究科, 教授 (50372298)
阿部 高明 東北大学, 医工学研究科, 教授 (80292209)
笠井 均 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (30312680)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | インドール化合物 / ATP / 心臓移植 / ミトコンドリア / 脊髄保護 / 虚血再灌流障害 |
研究実績の概要 |
新規インドール化合物は、腎、脳における虚血再灌流障害に対する抑制効果が実験的に示されている。本化合物の心臓血管外科領域における臓器保護に対する有効性を検討し、その臨床応用に向けた可能性を探求する。 脊髄虚血ウサギモデル:脊髄障害(対麻痺)は胸腹部大動脈置換術における重篤な術後合併症である。脊髄障害の原因は脊髄虚血再灌流障害であるが、脊髄の複雑な血行支配、高い虚血感受性、脊髄機能評価困難性が関与するため、脊髄保護法は完全に確立されてはいない。新規インドール化合物に、脊髄における虚血再灌流に対する抑制効果が確認されるのであれば、脊髄保護法を新たに改善することが期待され、その臨床的意義は大きい。我々の教室では、ウサギを用いた術中脊髄血液低灌流モデルがすでに確立されており、様々な脊髄保護法を検証してきた実績がある。 心移植モデルラット:インドール化合物のラット心臓移植におけるドナー心保護効果を評価するため、心移植に先立って、パイロットスタディとして心臓摘出からの経過時間によるラット心筋のATP量の変化について検討した。ラット(LEW種、雄、250-300g)をインドール化合物投与群と非投与群に分け、心臓摘出の24時間前と2時間前に投与群にはインドール化合物5㎎/㎏、非投与群には溶剤のみを、いずれも経口投与した。全身麻酔後、胸腹部正中切開し、ヘパリン100単位注入し、1分後に心臓を摘出した。摘出した心臓はすぐに4℃の生理食塩水に浸し、心臓内の血液を排除させた。心停止後、氷冷したシャーレ上で心尖部を6等分し、0時間、2時間、6時間、12時間と4℃生理食塩水に保存した。0時間のものは6等分後、すぐに凍結保存した。ATP含有量の評価はホタルルシフェラーゼ発光法により行った。結果は、0時間ではインドール化合物投与群で優位にATPが多くなっていたが、2時間、6時間、12時間では差は認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脊髄虚血ウサギモデル:当科においてウサギの術中脊髄血液低灌流モデルはすでに確立されていたが、新規インドール化合物をウサギに投与することは初めての試みであったために、まず投与後の血行動態を調べ、投与法の検討を行なった。内服法を様々な様式に振って血中濃度を測定した。結果、新規インドール化合物を液体に溶解して投与することで再現性を持った血中濃度を実現することができた。また内服後1時間後にピークが来ており、半減期は2.5時間であった。以上の結果をもとに、11羽のウサギに対して実験を行なった。前日、当日、術前と新規インドール化合物をウサギに投与し、脊髄虚血モデルを作成、脊髄保護効果の検証を行ったが、神経学的評価で改善を認めた個体は認められなかった。また同時に6羽のコントロール群も作成し比較したが、差を認めなかった。また病理学的所見においても両群で差を認めなかった。このようにウサギの術中脊髄血液低灌流モデルにおいて効果が認められなかったため、実験はやや遅れている。 心移植モデルラット:計画では、今年度は移植モデルの確立、ラット心移植を実施する予定であったが、パイロットスタディで、ラット心筋内のATPが時間依存性に減少し、心移植のGolden timeである4時間を待たずに、インドール化合物投与群とコントロール群とで同程度まで低下してしまうという結果となった。そのため、本研究の主要評価項目である、移植心の生着期間を評価するまでに至っていない。まずはラット心筋内のATPを移植まで、コントロール群に比べ有意に増加させておく工夫が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
脊髄虚血ウサギモデル:ウサギを用いた術中脊髄血液低灌流モデルにおいては、新規インドール化合物による脊髄の虚血再灌流抑制効果は認められなかったため、別な動物モデルにおける実験方法を模索中である。 心移植モデルラット:28年度の実験では、心臓移植のゴールデンタイムである4時間以内ではすでに心筋のATP含有量は非投与群と同等に低下していた。少なくとも4時間はインドール化合物の効果を持続させる工夫が必要であると考える。現在はこれまでの先行実験で脳、腎での評価に用いられていた1.5㎎/㎏を投与していたが、これを増加させて再評価してみる。また、保存液も実際の心移植に倣ってセルシオ液を使用し、より臓器保護が効いた状況下での評価を行う。また、心移植モデルの確立も今後の重要な課題の一つであり、前述の実験と並行して行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
脊髄虚血ウサギモデル:ウサギの術中脊髄血液低灌流モデルにおいて新規インドール化合物の効果が認められず、別な動物モデルにおける実験方法を模索している間、実験を施行していないため。 心移植モデルラット:実験がパイロットスタディの段階で止まっており、心臓移植の評価が出来ていないのが現状である。したがって、当初予定していた移植用のマウスの購入や心筋の免疫染色などを行っていないため、繰越金が発生している。
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次年度使用額の使用計画 |
主には動物実験に必要な動物の購入、手術機材(麻酔、縫合糸、器具など)が中心となる。また、評価に必要なATP測定キット、抗体、プライマーの購入も検討している。
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