研究課題
冠動脈バイパス手術における血管形態及び吻合形態を術中評価する試みとして、小型高周波心外膜エコープローブ先端に磁気式小型三次元位置トラッキングセンサを装着し、エコー画像とプローブ位置情報の三次元的な統合とリアルタイム提示が可能な術中評価支援システムの構築を進めている。平成30年度には取得データの最適化に伴うシステムの安定性向上と、血管ファントムによるチューブ構造三次元再構築精度評価、及びブタ摘出心を用いた吻合形態モデル(端側吻合、側側吻合)によるin vitro評価を行い、これら研究成果の発表を行った。1 取得データの最適化とシステム安定性向上:本研究にて使用する高周波心外膜エコー装置は高解像度出力であるため、トラッキングセンサによる位置情報との統合によるボリュームレンダリング時に画像処理用PCの大きな負荷となりシステムの不安定化を引き起こしていた。画像領域のトリミング処理及びフレーム間補間処理の最適化等を行うことでシステムの安定化を達成した。2 血管ファントムによるチューブ構造の三次元再構築精度評価:ストレートチューブ構造の血管ファントムにて三次元構造の精度評価を行った。半径方向で0.3mm, 長さ方向で4mmの平均誤差があることが確認され、精緻な冠動脈構造の三次元描出には一定の課題が残された。3 ブタ摘出心を用いた複数の吻合形態モデルによるin vitro評価:予め採取したブタ右冠動脈をグラフトとして用い、ブタ摘出心の左冠動脈に端側吻合及び側側(Diamond)吻合し三次元構造評価を行った。グラフトより生理食塩水を流すことで管腔構造を確保し、冠動脈走行及びグラフトに沿った方向でプローブを走査した。予め血管内腔と心筋組織とで異なる音響インピーダンス領域を強調して描出させるよう設定しておくことで、エコー画像取得からリアルタイムでの吻合部周辺三次元構造提示が可能であった。
すべて 2019
すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)