研究課題
(研究の目的)心臓移植にかわる治療法としての細胞移植治療を確立するべく、ヒトiPS細胞からの心臓構成細胞(心筋細胞・血管内皮細胞・血管壁細胞など)の効率的多量分化誘導、温度感受性培養皿を用いた細胞シート工学、ゼラチンハイドロゲルを用いた細胞生着促進効果およびサイトカイン徐放効果、を併用し、移植に適した集学的な多層組織化移植片を開発し、さらに心筋梗塞モデルに対する動物実験により、再生心筋補充による心機能回復を図りうることを確認する。(研究の成果)平成29年度までに、上記技術の誘導によるヒトiPS細胞由来多層積層化心臓組織を作製する技術を確立した。また、その積層体をミニブタ亜急性期心筋梗塞モデル、慢性期心筋梗塞ラットモデルおよび拡張型心筋症ハムスターモデルに移植することにより、それぞれ機能回復を示すことができた。組織学的検討により、線維化抑制・血管新生・アポトーシス抑制・心筋細胞肥大抑制などの治療メカニズムを示すことができた。平成30年度には、京都大学iPS細胞研究所で確立されたHLA(ヒト白血球型抗原)ホモ接合健常人ドナー由来の医療グレードのiPS細胞を用いて心臓細胞シートを作成する条件を最終的に確定し、その積層化法についても確立することができた。これらの研究において、iPS細胞由来心血管系細胞多層体の優れた治療効果および治療メカニズムの一端をしめすことができた。これらの成果は、iPS細胞を用いた心臓再生医療における基礎基盤を提供するものである。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件)
Sci Rep
巻: 7 ページ: 45641
10.1038/srep45641