研究課題
【目的】心不全のバイオマーカー探索と病態解析を目的として、重症心不全患者の心機能回復(Reverse Remodeling)における代謝産物の変化を、メタボロミクスにより解析した。【対象と方法】。健康人ボランティアおよびLVAD装着の必要な拡張型心筋症(DCM)患者の同意を取得後、1)術前、2)術後2週間目、4週間目に採血した。CE-TOFMS法、LC-TOFMS法により代謝産物を網羅的に解析した。検討項目:1)心不全患者に特有のマーカー 2)LVAD装着による心負荷軽減で変化するマーカー【結果】1)DCM患者においては健康人と比べてTCA cycleおよびβ酸化の中間物質が約1.2~1.5倍に、脂肪酸やacylcarnitineは約2~3倍に増加しており、エネルギー代謝、ミトコンドリア機能の障害が示唆された。2)LVAD装着術によりTCA cycleおよびβ酸化の中間代謝産物は術後4週目までに健康人と同等まで低下した。一方、コラーゲンの分解により構成物質である5-Hydroxylysine、Hydroxyprolineは患者において高値であり、LVAD後もさらに上昇した。また男性ホルモンであるDehydroisoandrosterone 3-sulfate(DHEAS)は患者において低値であり、LVAD後も改善しなかった。【結論】DCM患者においてはエネルギー代謝が障害されており、治療により正常化すること、また組織線維化などの構造的変化の正常化には時間がかかる可能性がある事が示された。以上より、重症心不全患者には特徴的な代謝パターンが認められ、一部は治療介入により変化することからMetabolomicsにより細胞の代謝活動の変化を治療効果として評価できる可能性がある。以上の結果について日本循環器学会等の国内学会で発表し、また論文発表の準備を進めている。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件)
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