研究課題
純系ラットを用いた異所性心移植をOno-Lindsey法(上行大動脈・腹部大動脈端側吻合および肺動脈・下大静脈端側吻合)により実施し連携研究者が開発した方法で自己心臓内幹細胞の純化精製及び培養を行ってきた。この組み合わせMajor Histocompatibilityのminor mismatchにより、比較的軽度の急性拒絶反応と慢性期にグラフト冠動脈病変(慢性拒絶反応)を来すことが知られており慢性期生存例による評価を予定していた。さらに、レシピエントおよび心筋内幹細胞をオスとすることによりY染色体の免疫染色により、細胞由来を追跡調査することにより心筋細胞が移植心由来か幹細胞由来かを特定することにより、心機能の改善が幹細胞由来細胞生着と増殖によるものか、いわゆるパラクリン作用による移植心の細胞の増殖、機能改善によるものかを特定することを目指している。現在移植手技および細胞培養手技の確立は達成されており、心筋由来幹細胞のグラフトへの選択的投与手技の安定的実施をめざし、生着後の評価をめざしていたが、平成28年度は使用していた実験施設が急遽使用できなくなったため予定していた慢性期生存の研究ができなかった。平行して実施している臨床治験での再生医療治療は良好な成績を上げておりCirculation researchへの論文掲載となった。この成果の基礎的裏付けとなる当研究は、平成29年度は施設使用が再開できることとなっており、慢性期生存を含めた研究再開の準備を進めた。
4: 遅れている
平成28年度は使用していた実験施設が急遽使用できなくなったため予定していたラットでの異所性心臓移植と心筋由来幹細胞投与後の慢性期生存評価の研究が実施できなかった。なお平成29年度は施設使用が再開できることとなっており、それに向けて研究再開の準備をすすめた。
研究施設使用再開を受けて、ラット異所性心移植手術を急ぎ実施して生存個体からの心グラフト評価を継続する。残り期間1年のため再生医療研究を実施している大学院生などにも手術、細胞培養、組織評価の指導を継続して実験実施の効率をあげ成果を達成する。
平成28年度は使用していた実験施設が急遽使用できなくなったため予定していたラットでの異所性心臓移植と心筋由来幹細胞投与後の慢性期生存評価の研究が実施できなかったため。
実験施設使用再開後に可能な限り実験実施回数を増加させて、遅滞を取り戻すように実験を推進する。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Circulation research
巻: 120 ページ: 1162-1173
10.1161/CIRCRESAHA.116.310253