研究課題/領域番号 |
15K10217
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
白澤 文吾 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80444719)
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研究分担者 |
藏澄 宏之 山口大学, 医学部, 特別医学研究員 (50645116)
末廣 晃太郎 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (10569312)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 間葉系幹細胞 / 細胞シート / 低酸素プレコンディショニング / 心筋梗塞 |
研究実績の概要 |
我が国における重症心不全患者数はおよそ160万人に上り、そのうちの約半数の80万人が虚血性心疾患である。今後、糖尿病患者の増加や高齢者の増加により虚血性心疾患患者数は右肩上がりに増加することは確実であり、効果的な治療法の早急な確立が求められる。幹細胞移植は、虚血性心疾患に対する優れた治療法として期待されている。治療効果に影響を与える要因の一つとして移植に用いる細胞種が挙げられるが、中でも間葉系幹細胞は虚血心における血管新生効果や線維化面積縮小などに大きな効果があるとされる。しかし近年行われた臨床試験では、虚血心における劇的な心機能回復効果は得られず、治療効果を向上させる新たな方法の確立が求められる。 本研究では、間葉系幹細胞から細胞シートを作製し、さらに細胞シートの機能増強を誘導することで虚血心における治療効果が向上するか否かについて、マウスおよびウサギを用いて検証した。まず初めに、マウス大腿部骨髄から単離した間葉系幹細胞から細胞シートが作製し得るか否かを検証した。結果、温度応答性培養皿を用いて単層の間葉系幹細胞シートの作製に成功した。次に、作製した間葉系幹細胞シートを低酸素の条件で12、24、48時間培養し、培養上清中の血管新生濃度を測定した。結果、マウス間葉系幹細胞シートの機能賦活化には48時間の低酸素培養が適していることが明らかとなった。本年度はさらに、ウサギ大腿部から単離したウサギ間葉系幹細胞を用いた細胞シートの作製および低酸素培養による機能賦活化の検討を行い、マウス同様の結果を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度には、マウス骨髄から単離した間葉系幹細胞を用いて細胞シートの作製、低酸素プレコンディショニングによる細胞シートの機能賦活化、マウス心筋梗塞モデルへの移植、を当初計画として挙げていたが、細胞シートの移植実験を次年度以降にするよう若干の計画変更を行った。代わりに、ウサギ骨髄間葉系幹細胞による細胞シートの作製および低酸素培養による機能賦活化の有無、などについて検討し、いずれの動物種においても優れた成果をえることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度以降には、低酸素刺激により機能増強した間葉系幹細胞シートの自家移植により、陳旧性心筋梗塞モデルでの治療効果を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度には、マウス陳旧性心筋梗塞への機能賦活化間葉系幹細胞シートの移植を計画していたが、計画変更して次年度以降に行うこととした。そのため、計上していた金額に差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に行う予定だった動物実験を平成28年度に行うため、そこに未使用額分を充てることとする。
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