研究課題/領域番号 |
15K10223
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
北原 大翔 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70594729)
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研究分担者 |
岡本 一真 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (10338064)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 脱細胞化 / 再細胞化 / 心筋再生 |
研究実績の概要 |
本研究の最終的な目的は、生体組織の脱細胞化技術を用いて死体心から新たな移植用心臓を作成することである。最終的には脳死ドナーに頼らない心臓移植治療の実現化を目指して研究を遂行した。 2016年度は、脱細胞化マトリックスへ遊走する生体細胞の詳細な分析をするべく実験を遂行した。申請者の所属する研究室では既に、ラットで実現されている脱細胞化臓器マトリックス(肝臓、腎臓)の他ラットへの部分移植を行うことによって起こる脱細胞化マトリックスへの生体細胞の遊走現象(Y. L. Yu, Biomaterials, 2014) に関して、これをブタに応用することによってブタでも同様の細胞遊走現象が起こることを明らかにしている。そこで今回申請者はそれらをラットの心臓で行い、やはり他臓器と同様に血管内皮細胞などの遊走現象を認めている。更に、ラットの脱細胞化マトリックスの再細胞化の手法に関しても検討を行なっている。清潔環境下での培養液の経大動脈的冠動脈還流ルートを構築し、ラット心臓細胞骨格に段階的に新生児ラット心臓から抽出した心筋細胞を注入しチャンバー内で再細胞化を行った。再細胞化後の病理学的評価を行なったところ、脱細胞化マトリックスの心筋細胞による再細胞化を確認できた。この再細胞化した心臓マトリックスの部分移植も行なっており、やはり免疫染色によって心筋細胞成分の存在を確認している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
ラットの脱細胞化心臓マトリックスの再細胞化をisolationした心筋細胞だけでなく筋芽細胞なども使用することにより、拍動能を持たせることを念頭に置いて再細胞化マトリックスの生理学的評価を行なう予定である。また、これらの再細胞化マトリックスを移植した後の病理学的な変化と生理学的な心機能の変化に関して超音波検査などを用いて評価する。更に、この技術を大動物に応用すべく、ブタ心臓を用いて同様の研究を行う。細胞シートには筋芽細胞、あるいは分離した心筋細胞やiPS細胞を生着・培養させる。これによって、心拍動下での細胞シート移植による心筋細胞の生着・遊走、培養の程度、再細胞化の効率化を病理学的手法により検証する。また電気生理学的機能検査のために、移植脱細胞での電位測定、細胞収縮反応などの検査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果である。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究費は主として、消耗品と国内旅費、外国旅費、謝金、印刷代、研究成果投稿料、会議費などに利用される予定であり、設備備品費を申請する予定は無い。 当研究室は、研究施設がすべて整っており、新規の設備投資は必要とせず、直接研究に関わる経費のみを支出する予定である。
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