研究課題/領域番号 |
15K10224
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
今水流 智浩 帝京大学, 医学部, 講師 (40359576)
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研究分担者 |
内山 雅照 帝京大学, 医学部, 助手 (60713295)
飯田 充 帝京大学, 医学部, 講師 (20386022)
松山 重文 帝京大学, 医学部, 講師 (90713420)
尾澤 直美 帝京大学, 医学部, 助教 (60713435)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | BTLA / PD-1 / 心臓移植 / 制御性T細胞 |
研究実績の概要 |
拒絶反応を抑制するための免疫抑制剤やステロイド等の投与方法や開発により、移植成績は良好な傾向となっている。しかし、従来型免疫抑制剤の長期投与では副作用の増加と医療費の向上を引き起こし、慢性拒絶反応の制御は依然困難な状態である。現在までに抗PD-1抗体や抗CTLA-4抗体等、多くの抗体が拒絶反応制御に対して研究されている。そこで、今回の研究では抗BTLA抗体と抗PD-1抗体の組み合わせをマウス心臓移植モデルに対して使用し、抑制性受容体抗体による免疫制御細胞の誘導の有無とその機序の解析を行い、ひいては慢性拒絶反応抑制効果について調査した。 平成27年度は無治療群、抗BTLA(B and T Lymphocyte Attenuator)抗体単独投与群、抗PD-1(Programmed Cell Death 1)抗体単独投与群、抗BTLA抗体+抗PD-1抗体併用群の4群を作成し、移植心臓の生着延長期間(以下、MST)を確認した。MSTは、無治療群7日間、抗BTLA抗体単独投与群46日間、抗PD-1抗体単独投与群25日間、抗BTLA抗体+抗PD-1抗体併用群100日以上であった。抗BTLA抗体と抗PD-1抗体の組合せがFK506やシクロスポリンなどの従来型の免疫抑制薬と同じ効果を有していた。投与スケジュールの中で手術当日の1回投与が100日以上の生着延長効果を認めたため、このスケジュールを基準に実験を進めていく。平成29年度はBTLA抗体単独投与群の生着延長効果を確認すると共に、移植心の冠動脈内膜変化を組織免疫学的に評価した。冠血管周囲にCD4+CD25+制御性T細胞の誘導を認めた。現在、論文を作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・無治療群、抗BTLA(B and T Lymphocyte Attenuator)抗体単独投与群、抗PD-1(Programmed Cell Death 1)抗体単独投与群、抗BTLA抗体+抗PD-1抗体併用群の4群を作成し、移植心臓の生着延長期間を確認した。 ・各群から採取した脾臓を用いて、混合リンパ球培養、サイトカイン分析、免疫組織染色で評価した。 ・現在、論文を作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年から平成29年までの実験結果をまとめ、現在Transplantation ProceedingsとTransplantationなどに投稿予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
・マウス繁殖が予想より順調であり、追加購入するマウスが少なかったため。 ・手術用機材、薬剤(麻酔薬、縫合糸など)を節約し、当該年度の追加購入を控えることが出来たため。 ・平成29年度までの結果をまとめ、2本の論文を作成し提出している段階であり、論文掲載料を算定したため。また、追加実験を要する事態も想定している。
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