研究課題
拒絶反応を抑制するための免疫抑制剤やステロイド等の投与方法や開発により、移植成績は良好な傾向となっている。しかし、従来型免疫抑制剤の長期投与では副作用の増加と医療費の向上を引き起こし、慢性拒絶反応の制御は依然困難な状態である。現在までに抗PD-1抗体や抗CTLA-4抗体等、多くの抗体が拒絶反応制御に対して研究されている。そこで、今回の研究では抗BTLA抗体と抗PD-1抗体の組み合わせをマウス心臓移植モデルに対して使用し、抑制性受容体抗体による免疫制御細胞の誘導の有無とその機序の解析を行い、ひいては慢性拒絶反応抑制効果について調査した。平成27年度は無治療群、抗BTLA(B and T Lymphocyte Attenuator)抗体単独投与群、抗PD-1(Programmed Cell Death 1)抗体単独投与群、抗BTLA抗体+抗PD-1抗体併用群の4群を作成し、移植心臓の生着延長期間(以下、MST)を確認した。MSTは、無治療群7日間、抗BTLA抗体単独投与群46日間、抗PD-1抗体単独投与群25日間、抗BTLA抗体+抗PD-1抗体併用群100日以上であった。抗BTLA抗体と抗PD-1抗体の組合せがFK506やシクロスポリンなどの従来型の免疫抑制薬と同じ効果を有していた。投与スケジュールの中で手術当日の1回投与が100日以上の生着延長効果を認めたため、このスケジュールを基準に実験を進めていく。平成29年度はBTLA抗体単独投与群の生着延長効果を確認すると共に、移植心の冠動脈内膜変化を組織免疫学的に評価した。冠血管周囲にCD4+CD25+制御性T細胞の誘導を認めた。平成30年度は論文を作成し、現在査読中である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
International Journal of Surgery Case Reports
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Transplantation Proceedings
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