研究課題/領域番号 |
15K10251
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
北田 正博 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (60332483)
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研究分担者 |
大崎 能伸 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30191935)
佐々木 高明 旭川医科大学, 医学部, 助教 (70516997)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 肺悪性腫瘍 / 胸膜悪性腫瘍 / 光線力学的診断 |
研究実績の概要 |
胸部癌患者の生存期間は癌の進行度によって決定し、局在診断のみならず、胸膜転移やリンパ節転移の有無の評価が重要である。過大な手術侵襲や術後治療を回避できる事は患者に有益であり、医療経済的にも寄与する。人体の正常な臓器は、520nm程度の緑色の自家蛍光を発生し、病変部では蛍光が減弱し、610nm程度の赤色蛍光を呈する事象を観察する研究を行ってきた。更に、光増感物質であるアミノレブリン酸(5-ALA)投与後の自家蛍光波長の変化を観察する事で、精度向上を目的とした。胸部疾患領域に対する類似研究は本邦、海外共に無い。本研究の結果、胸膜悪性病変の正確な局在診断が、境界線も含めて可能となり、肺癌胸膜浸潤因子(pl因子)の診断により、縮小手術である区域切除の適応等も決定できる可能性を得た。将来への展望として以下の2点を挙げる。1. 肺癌センチネルリンパ節生検への応用:肺癌領域リンパ節の位置、色調より、乳癌に比べセンチネルリンパ節生検の研究は進展していないのが現状である。本研究の結果は、腹部も含めた他臓器分野にも大きな示唆をもたらすと思われる。2. 悪性胸膜中皮腫に対する光線力学的治療(PDT)への応用:早期の悪性胸膜中皮腫の局在診断が可能になり、異常蛍光を発生する物質を特定できれば、極めて予後不良であり、未だ治療法が確立されていない悪性胸膜中皮腫に対し、低侵襲な光線力学的治療(PDT)という新たな治療法が可能になる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
5ALAと自家蛍光観察システムを併用した胸膜悪性病変(肺癌の胸膜浸潤部分、悪性胸膜中皮腫)の確実な診断のための研究を進めている。LED光源に変更し、励起光と病変の色調を観察するシステムにやや不具合があり、一時研究中断を余儀なくされた。しかし、現在、症例を吟味して再開、データ採取している。
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今後の研究の推進方策 |
5ALAと自家蛍光観察システムを併用した胸膜悪性病変(肺癌の胸膜浸潤部分、悪性胸膜中皮腫)の確実な診断手技確立のための研究を進めている。当初の計画にて記載した以下の2項目の研究をさらに進める。1.悪性胸膜中皮腫に対する将来的な光線力学的治療を目指して診断の精度向上のために症例を増やす。2.肺癌センチネルリンパ節生検に関する研究も開始する。肺癌におけるセンチネルリンパ節生検の同定は、1群リンパ節が肺内である可能性がある事、リンパ節の色調が黒色であり、従来の色素法では困難である事、また、RI法であればその扱いが煩雑であることで未だ臨床研究の域をでない。本法による同定と診断の精度向上に向けての研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はアミノレブリン酸の代金が前回の科学研究費にての購入分で賄えました。また、学会出張費、論文掲載費も他の研究費を使用しております。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度に、研究に使用する光源等の購入も検討しております。
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