研究課題/領域番号 |
15K10252
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
似鳥 純一 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40424486)
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研究分担者 |
中島 淳 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (90188954)
安樂 真樹 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (70598557)
長山 和弘 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00647935)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 蛍光プローブ / 肺癌 / 肺腺癌 / 組織亜型 / Micropapillary / 癌特異的蛍光プローブ |
研究実績の概要 |
本邦において肺癌はがん死亡原因の第1位である、肺腺癌(ADC)は肺癌全体の約50%を占める。我々は肺腺癌組織亜型の1つである微小乳頭癌(Micropapillary: MIP)の特性を研究し、悪性度が極めて高いこと、リンパ管侵襲・転移を起こしやすいこと報告してきた。また、MIPを含む肺腺癌(MipADC)は有意な予後不良因子であることを臨床病理学的に証明してきた。しかし、MipADCは術前・術中に診断困難であるため、術後永久標本にて診断されているのが現状である。 平成27年度はMipADCが画像学的に術前診断可能かどうかを検討した。(病理病期 stageI, 2cm以下90例)以下①, ②はその研究結果である。① CTにて画像学的浸潤癌とされる腫瘍に含まれるSolid成分の割合が25%以下の者にはMipADCは存在しない。また、MipADCの再発症例はCTRが25%以上の画像学的浸潤癌であることが分かった。 ② FDG-PETにてMipADCとSUVmaxには相関が認められず、MipADCの存在はFDG-PETによる術前予測は困難であった。 以上の結果から、術前に行われている画像学的術前検査にてMipADCを検出するのは困難であることが分かった。 平成28年度はデータベース症例を追加し(354例)、近年、再発因子の一つとして注目されているSpread Through Air Spaces (STAS)の検討を行った。小型肺腺癌に対して縮小手術が行われた際、STASが有意な再発因子であることが証明され、その結果を世界肺癌学会で報告した。また、並行して術中迅速診断に適した癌特異的蛍光プローブ開発も進んでいる。 平成29年度では、MipADCおよびSTASの蛍光局在の解明のため、癌特異的蛍光プローブの選定、術中検出法を確立することを目的とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究用の手術検体の採取は徐々に増加しているものの、Micropapillaryを含む肺腺癌(MipADC)やSpread Through Air Spaces (STAS)が占める割合が少ない。一方、癌特異的蛍光プローブの作成は十分あるので、現在、肺癌特異的な蛍光プローブを探索・選定している段階である。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度では、集積した手術検体を用いて、候補に挙がっている肺癌特異的蛍光プローブを順次探索・選定していく。また、癌特異的蛍光プローブと肺癌組織および肺腺癌組織亜型の相互関係にとらわれず、肺癌部分切除検体の切離断端の癌細胞の遺残の描出をすることで、肺癌の再発の基点の詳細を解明していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は手術検体採取および臨床データの集積が中心となり、そのデータから得られた研究結果の発表が主な支出となったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は蛍光プローブ作成および肺癌特異的蛍光プローブの探索・選定を行うため、基礎研究への支出が大きくなることが予想される。
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