研究課題
我々は肺腺癌組織亜型の1つである微小乳頭癌(Micropapillary: MIP)の特性を研究し、悪性度が極めて高いこと、リンパ管侵襲・転移を起こしやすいこと報告してきた。また、MIPを含む肺腺癌(MipADC)は有意な予後不良因子であることを臨床病理学的に証明してきた。しかし、MipADCは術前・術中に診断困難であるため、術後永久標本による診断に頼らざるを得ないのが現状である。癌特異的蛍光プローブは迅速かつ簡便に診断可能であり、実用性が高いと判断し基礎研究を進めてきた。先行研究(日野ら)では蛍光プローブgGlu-HMRGを用いて肺腺癌細胞株(A549、H441)の蛍光画像から癌細胞を認識可能であることを証明した。この成果を元に本研究では手術検体(57症例)を用いて、病理学的診断により組織型を同定し、予め作成したpeptide-HMRG、peptide-2Me-SiRなど多数の蛍光プローブを用いて正常肺と腫瘍との蛍光上昇値の違いを検討した。特に肺腺癌(25症例)の蛍光上昇に着目した。ライセートスクリーニング結果をもとに選定したプローブ(7種類)の中で3種類の蛍光プローブが平均AUC:0.83 (0.815-0.84)であり、識別能力が良好であることが証明された。これらの癌特異的蛍光プローブは先行研究で用いたgGlu-HMRGよりも有用であった。しかし、組織型による各種蛍光プローブの蛍光上昇の違いに関して検討可能であったが、MipADCなどの組織亜型の蛍光局在の解明および術中検出法を確立するまでには至らなかった。今後、症例集積を含めてさらに研究を進めていく。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件) 学会発表 (1件)
Interact Cardiovasc Thorac Surg.
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1093/icvts/ivz116.
Surg Today.
10.1007/s00595-019-01806-9
J Thorac Oncol.
巻: 1 ページ: 72-86
10.1016/j.jtho.2018.09.008.
Eur J Cardiothorac Surg.
10.1093/ejcts/ezy324.
J Thorac Dis.
巻: 8 ページ: 4741-4750
10.21037/jtd.2018.07.45.
Ann Thorac Cardiovasc Surg.
巻: 5 ページ: 223-229
10.5761/atcs.oa.18-00051.