研究課題/領域番号 |
15K10253
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
青山 晃博 京都大学, 医学研究科, 講師 (60379047)
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研究分担者 |
陳 豊史 京都大学, 医学研究科, 講師 (00452334)
伊達 洋至 京都大学, 医学研究科, 教授 (60252962)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 肺移植 / 抗体 / 慢性拒絶反応 / 制御性T細胞 |
研究実績の概要 |
研究目的1:経気管支肺生検組織の培養上清中の抗ドナー抗体検出による抗体性拒絶反応の早期検出に関する研究 当科で施行した肺移植の件数は平成27年27件、28年は26件で、29年3月の時点で、累計166例(120例が生存中)となった。H27年4月からH28年3月までに慢性移植肺機能不全を来したのは10例で、血中に抗ドナー抗体が証明されたのは3名であった。いずれも状態から肺生検は施行不可能であった。抗ドナー抗体が証明されていないが1例では経気管支肺生検と開胸肺生検を行なった。病理学的に閉塞性細気管支炎、C4dの沈着は証明されなかった。余剰の肺組織がなく培養による抗体産生の検討はできていない。
研究目的2 抗ドナー抗体産生ラット肺内気管移植モデルにおける低用量IL-2による制御性T細胞増加と抗体産生抑制に関する研究 臨床肺移植とより免疫学的に近いラット同所肺移植モデルでの閉塞性細気管支炎モデルの作成を行なってきた。ラットアロ同所性片肺移植を行い、術後免疫抑制を術後56日まで継続し犠牲死させた。術後35日から気道にリポポリサッカライド(LPS)投与するLPS群、PBSを気道投与するPBS群を比較検討したところ、LPS群は、他の群に比べ有意にISHLT A grade, B gradeが高かった(grade A, 1.83 ± 0.21 (LPS) vs. 0.50 ± 0.30 (PBS), P = 0.005; grade B, 1.50 ± 0.12 (LPS)。気管支周囲の線維化はLPS群において有意に高値であった。LPS気道刺激によって、実臨床で閉塞性細気管支炎と診断される状況に類似した、気道中心性炎症、線維化、免疫反応を惹起することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究目的1においては、臨床肺移植の肺組織検体の採取が容易ではなく、H27年度、H28年度で肺組織が得られたのは剖検例をのぞいて、2例(経気管支生検と開胸生検)のみであったが、病理診断後の余剰組織が僅少で培養が行なえなかったため。
研究目的2においては、より実臨床に近いモデルの確立のため、肺移植手術手技の安定化、免疫抑制剤の設定を行ったため。
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今後の研究の推進方策 |
研究目的1 本研究は臨床肺移植患者の経気管支肺生検検体を用いるが、組織検体が得られない場合は、移植肺の二次リンパ組織である気管分岐下リンパ節を経気管支超音波ガイド下に生検し単核球を分離する方法も検討している。しかし本法は出血や感染のリスクもあり倫理的問題を有しており、末梢血からB細胞を分離しドナーリンパ球もしくは非特異的に培養・増殖・分化させてその上清から抗体を検出する方法を検討している。
研究目的2 引き続き計画にそって研究を進める。
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