研究課題/領域番号 |
15K10254
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
川村 知裕 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30528675)
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研究分担者 |
南 正人 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (10240847)
井上 匡美 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10379232) [辞退]
奥村 明之進 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40252647)
舟木 壮一郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50464251)
竹森 洋 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, その他部局等, その他 (90273672) [辞退]
新谷 康 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90572983)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 移植・再生医療 / 肺移植 / 水素 / 虚血再灌流障害 / 酸化ストレス |
研究実績の概要 |
肺移植の治療成績は他の臓器移植と比較してまだ改善の余地があり,効果的な治療戦略が望まれている.脳死状態,移植後虚血灌流傷害,炎症反応,拒絶反応など,ドナー・レシピエントを通じて,酸化ストレスが肺移植に関連した病態のキーとなることが多く,その制御は重要である.肺移植成績の向上には,肺移植の各ステップ全体にわたる包括的な治療戦略が求められる.これまでに申請者は水素ガス吸入が,肺移植後虚血再灌流傷害を軽減すること,Nrf2シグナルを活性化することをラットモデルにて証明し,水素が酸化ストレスに対する新たな治療となることを示してきた.本研究では,水素が肺移植関連酸化ストレスに対する新規包括的治療として,臨床応用に向けた試験とその効果のメカニズムの解明を目的とした. 今回本研究では肺移植術後に1.3%水素を24時間投与を行い,その安全性を主要項目とし,血中水素濃度,移植後虚血再灌流傷害の程度(PGD grade)などを副次項目とした.水素投与はすでに臨床で使用されている人工呼吸器を用いた,水素投与可能人工呼吸システム使用して行っている.水素濃度1は関係法規に則り,可燃性ガスとしての取り扱いが不要である1.3%とした.現在までに4例の患者に投与したが,水素投与中の明らかな有害事象は認めず全例水素投与を完了することができた.さらに,手術後72時間以内の虚血再灌流傷害(PGD grade)は,全例とも悪化を認めず改善傾向を示した.臨床試験は後2例で終了する予定である.これまでの結果については,国内国外の学会にて報告を行っている.本研究で安全性を証明した後は,有効性を検討する臨床試験へと進む予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
施設倫理委員会の承認下で,臨床試験を開始した.肺移植手術症例が伸び悩んでおり,未だ予定症例数に達していない.また基礎実験を担当していた共同研究者の異動に伴い,基礎実験については現在進行が難しい状況である.
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今後の研究の推進方策 |
予定症例数を満たすまで,肺移植症例全例を水素臨床試験対象とすることと,基礎実験系のセットアップを行う予定である.
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