研究課題/領域番号 |
15K10255
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
南 正人 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (10240847)
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研究分担者 |
井上 匡美 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10379232) [辞退]
川村 知裕 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30528675)
奥村 明之進 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40252647)
舟木 壮一郎 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (50464251)
新谷 康 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (90572983)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 肺再生 / IP受容体アナログ / HGF / COPD |
研究実績の概要 |
ONO1301はHGF,VEGFなどの再生促進因子産生亢進の働きを持っているが、具体的に肺のどの細胞に働いているかは不明であり、まずその作用する細胞種を調べることとした。使用した細胞は線維芽細胞(Normal fibroblast;NF)と肺胞上皮細胞(A549),そしてヒト肺微小血管内皮細胞(HPMEC)で、ONO1301を投与した後にmRNAレベルと培地内の各因子の濃度をELISA法にて測定することとした。線維芽細胞ではSDF1とHGFのmRNAがONO1301の濃度依存性(0-10-100nM)に上昇を示し、それに呼応するように培地中のHGFも上昇していた。一方A549ではいずれの遺伝子も有意差は認めなかった。また肺微小血管内皮細胞でも、VEGF,HGFともに明らかな上昇は認めなかった。ONO1301の作用機序は肺組織の支持細胞である線維芽細胞に作用していると考えられた。また動物実験ではLPS吸入による肺障害モデルにてONO1301の障害抑制効果を検討してみた。まずLPSを径気道的に吸入させてみて、その後3時間後、6時間後、9時間後で犠牲死させ、肺を摘出し、IL-6のmRNAを分析してみた。その結果6時間後がピークで9時間になると減少を示していた。予想に反して、非常に短期間にIL-6 mRNAが上昇しその後減少していたため、ONO1301の効果を確認するには、あらかじめONO1301を投与し、その後LPSを投与することが必要と考えた。その結果LPSのみ投与群に比し、ONO1301+LPS群で有意にIL-6が減少していた。より詳細なメカニズムを検討するため次に肺胞上皮細胞株(A549)にLPSを加え遺伝子の変化について調べた。LPS投与にてIL-6 mRNAは著明に上昇示すが、ONO1301投与にて低下を示した。細胞増殖に関してはONO1301は線維芽細胞に作用している可能性が高く、ストレスに対する抑制作用に関しては肺胞上皮細胞に直接作用していると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞株によってONO1301の効果に差があるため、さらに細胞種を増やし検討を要する。ヒト肺微小血管内皮細胞では、もともと培養条件が難しいためか、増殖能が低く条件設定に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
今回調べた細胞では細胞の種類によってONO1301に反応性の差異を認めた。特に繊維芽細胞ではONO1301に対してよく反応し再生因子生産亢進作用があるように思われた。しかしその他の細胞株として血管内皮細胞であるHUVECを用いてONO1301投与による再生因子(HGF,VEGF)の変化を調べる予定である。またあらたな動物実験としてCOPDモデルであるエラスターゼ投与を行い、ONO1301の再生能力を調べる予定である。投与法として、皮下注射とシート移植を予定している。
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