研究実績の概要 |
目的:分割肺移植に使用されるのはマージナルドナー肺となるが、そのマージナルドナー肺の一つである肺塞栓を動物実験モデルとして確立する。 実施計画:各種油を使い肺塞栓モデルの作成を行う。ラード(自己の背油)、オレイン酸、骨髄(自己)、トリオレイン等を試した。 その中でラードがインフュージョンリアクションによる急性右心不全が少なく最も適していると判明したため、ラードを用いた塞栓モデルとした。ラインの挿入の後、実験動物の背側皮下組織からラードを採取した。その後スワンガンツカテーテルを挿入し、開胸をおこない、左肺動脈にテーピングをし、ラードを注入する。ラードが左全肺に散布されると肺動脈圧の上昇と酸素化の悪化が認められた。左心房から肺静脈にカニュレーションを行い、順行性・逆行性に肺動脈フラッシュを行って、ラードを還流液ごと回収する。その後再灌流の後、データ測定を開始する。ラード投与前(コントロール)とラード投与後30分、実験終了時(心肺ブロック採取前)に左下葉から生検を行う。測定開始から4時間計測を行い、その間血液ガス分析、肺動脈圧、血液サンプルを採取する。心肺ブロックとして摘出した後病理学的評価も加える。 このモデルを用い、コントロール群と逆行性フラッシュ群とでラード回収率、P/Fレシオの推移、肺血管抵抗、ウェット・ドライレシオ、サイトカイン(IL-8,TNF alpha),フリーラジカル、肺コンプライアンスを調べる。
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