研究課題/領域番号 |
15K10260
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
鳥羽 博明 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 助教 (40403745)
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研究分担者 |
先山 正二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 准教授 (60291986) [辞退]
川上 行奎 徳島大学, 病院, 特任講師 (00596249)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | iPS細胞 / 気管支肺胞幹細胞 / 終末細気管支障害 / 急性肺障害 / 気道内投与 |
研究実績の概要 |
前年度同様、目的の細胞ソースである気管支肺胞幹細胞(BASCs)の単離実験を継続した.Driscollらのプロトコール(Method Mol Biol)に準じたマウス肺からのBASCsの単離・回収はおおむね安定してできるようになっている.Naphthaleneを用いたマウス終末細気管支モデルを作成し,経気道的にBASCsを投与し,ドナー由来のBASCsがレシピエントの末梢気道に生着することを確認できた.しかしながら,修復の有無を経時的に確認する段階において,蛍光顕微鏡を用いた形態的な評価は行うことができたが,数値化できるまでには至っておらず,モデルの数を増やして検討しているところである.同時並行で進めているiPS細胞からのBASCsへの誘導に関しては,これまで当教室ではiPS細胞の取り扱いに慣れていなかったこともあり,時間はかかったものの,線維芽細胞をフィーダーとしたマウスiPS細胞の安定した培養・継代の手技を確立することができるようになった.現在はできる限り手技をシンプルにするためにフィーダーフリーの培地によるiPS細胞の培養・継代の手技に取り組みながら,BASCsへの分化誘導実験の段階に入っている.Zhouらのプロトコール(Stem Cells Translational Medcine 2014)を参考にしつつ,増殖因子の濃度や投与時期,また培地の条件等の確実な分化・誘導に向けた環境の条件設定を工夫しつつ試行錯誤している状況である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウス肺からの気管支肺胞幹細胞(BASCs)の単離,障害マウスモデルの作成は順調に進んでいる.しかしながら,終末細気管支障害モデルへのBASCsの投与による生着を確認することができたが,まだ経時的な修復を数値化できるまでには至っていない.これは,Naphthaleneを用いたマウス終末細気管支モデルが侵襲度の高いものであると同時に,BASCsが生体肺内でかなり少ないpopulationであるため,十分なサンプル数で検討するためには細胞数を得るのに時間と多くのマウスを要することがあげられる.同時並行のマウスiPS細胞からのBASCsの分化・誘導に関しては,細胞の取り扱い手技の習熟度が遅かったこと,またBASCsへの分化・誘導するためのプロトコールの確立に時間がかかっていることがあげられる.
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今後の研究の推進方策 |
BASCsのマウス終末細気管支障害モデルへの投与による修復の確認に関しては,サンプル数を確実に増やすことで対処可能であると考えている.マウスiPS細胞からのBASCSへの誘導はいくつかの条件設定への絞り込みが進みつつあり,preliminalyな結果も得ているため,あとはさらなる工夫によって対応可能であると考えている.本年度予定している実験計画にもスムーズに移行できると考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
プロジェクトの進捗がややおくれているため,高額な外注費などに使用するための経費が余剰したものと考えている.
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次年度使用額の使用計画 |
未使用額の使用用途については,特にiPS細胞の培養や誘導にはさまざまな高価な試薬が必要であり,使用させていただく予定である.加えて、MicroarrayやMicrobeadsなどの外注に必要な経費として計上させていただきたいと考えている.
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