研究実績の概要 |
原発性非小細胞肺癌は、腺癌、扁平上皮癌などの組織型に分類され、それぞれ肺の中枢および末梢などに存在する肺組織幹細胞より発生している。再発や転移のメカニズムには、癌幹細胞の関与が指摘され、その微小環境の解明も望まれる。また、近年、肺再生および肺発生における肺幹細胞遺伝子が、肺癌の再発、転移のメカニズムに密接な関連性をもつことが示唆されている。肺発生時、また成人肺障害時の肺胞上皮細胞の発生にHippo pathwayが重要な役割を果たしている。また、気道およびalveolar lineageにおいてはNotch signalが関与している。また肺再生においてはFGF-FGFR-Sprouty, Shh-PTtc-Hipが知られている。 原発性肺癌において1)肺癌幹細胞遺伝子およびその微小環境(ニッチェ)、2)肺発生に関与する肺幹細胞遺伝子との関連性を調べる。原発性肺癌での組織型別の発現の有無およびその相関性、またその予後などを含めて、解析し、肺癌のカテゴリーの構築を行う。 1)原発性肺癌における肺癌幹細胞遺伝子および微小環境の解析 ①肺癌幹細胞遺伝子群(CD133, SDF-1, ALDH1)、およびニッチェ関連遺伝子およびそのcascade(CXCR4 receptor, PDGF, Wnt, Hh)の解析を行う。特に微小環境に関するサイトカインに関しても、MCP/CCR2, SDF-1/CXCR4, SCF/c-kitなど間質との検討を行う。これらの遺伝子群発現の有無と予後(5年全生存率および無再発生存率)との関連性を比較する。 2)原発性肺癌と、肺発生に関与する肺幹細胞遺伝子との関連性 肺幹細胞遺伝子としては、これまでSca1+/CD34+が報告され、また周囲の間質細胞からFGF10, HGFが報告されている。また肺発生においては、Yap遺伝子に関しても検討が行う。
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