研究課題
扁平上皮癌が多くの遺伝子異常を持つことは喫煙の影響が大きいと考えられている。当科の肺扁平上皮癌切除例364例の検討では非/軽喫煙者(30Pack Year以下)を71例(19.5%)認め、非/軽喫煙者は重喫煙者(>30PY)に比べ有意に予後が悪かった。非・軽度喫煙患者と重度喫煙患者の扁平上皮癌は異なる性質・遺伝子変化を持つ可能性があり、その遺伝子異常を指標に治療標的候補の検索が可能と考えられた。現在、非/軽度喫煙者及び重度喫煙者における肺扁平上皮癌の遺伝子変化を比較検討し、治療対象となる標的分子を次世代シーケンサーを用いて探索することを目的に研究を進めている。まず肺扁平上皮癌症例で使用可能な検体88例に対して、2100バイオアナライザ- RNA ソリューションを用い、RNAのクオリティー検査を行いRNAシークエンス施行可能な検体数を調べた。非/軽喫煙者では癌部8例、正常部10例、重喫煙者では癌部33例、正常部36例であった。次いでTruSeq Stranded mRNA Sample Prep Kitを用いて、RNAをシークエンス可能な状態にするライブラリーの作成を施行した。ここまで54サンプル中、24サンプルのライブラリー作成を完了した。続いて手技の確認と解析の検討を兼ねて、12サンプル(非/軽喫煙者:3例の6検体, 重喫煙者3例6検体)でまずRNAシークエンスを施行した。その結果、TCGAのデータベースと併せて解析を行ったところ、非/軽喫煙者の癌部で重喫煙者に比して有意に発現量が増加する遺伝子53種類を同定した。このうち、TCGAのデータベース上で予後不良と関連する遺伝子は3種類であった。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件)
Ann Surg Oncol
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