研究課題/領域番号 |
15K10270
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
坪地 宏嘉 自治医科大学, 医学部, 准教授 (50406055)
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研究分担者 |
遠藤 俊輔 自治医科大学, 医学部, 教授 (10245037)
遠藤 哲哉 自治医科大学, 医学部, 助教 (50528601)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 肺癌 / 自律型細胞運動刺激因子 / AKT遺伝子 / 上皮成長因子受容体 |
研究実績の概要 |
肺癌において、自律型細胞運動刺激因子autocrine motility factor(AMF)のターゲットであるAKT周辺遺伝子の解析を行うとともに、肺癌におけるAkt発現に関して免疫組織化学的解析を行い、臨床病理学的各因子及び予後との相関について検討した。108例の肺癌組織の免疫組織学的検討により、total-Akt、Akt1、Akt2、Akt3がそれぞれ61%, 47%, 41%, 23%の症例で過剰発現していることを見出した。個別にみると、total-Aktは小細胞癌では62%の症例で強発現していた一方、腺癌では40%の症例で発現していたにすぎなかった。Akt2、Akt3は小細胞癌で、Akt1は扁平上皮癌で高頻度に発現していた。Akt2、p-Akt、cytoplasmic-p-Aktの発現はリンパ節転移と有意に相関していた。Epidermal growth factor receptor (EGFR)の変異は腺癌44例のうち19例に認めた。腺癌におけるEGFRの変異例と予後は有意な相関はなかった。EGFRの変異とtotal-Akt、p-Akt、Akt1-3の発現との関連についても検討したが有意な相関はなかった。Aktの発現及び活性化と喫煙歴について相関はなかった。免疫染色によるAktの発現とAKT遺伝子の増幅とは相関していることを確認した。AKT1とAKT2に関してFISH陽性の腫瘍はすべてtotal-Akt及びp-Aktの過剰発現が認められたが、AKT3については発現が認められなかった。AKT1及びAKT2遺伝子の増幅は腫瘍径と相関していた。予後との関連については、病理学的T因子とN因子は予後と有意な相関があったが、total-Akt、p-Akt、Akt1-3の発現は予後と有意な相関はなかった。これらの結果から、肺癌において、EGFR-Aktの相互関係、制御機構の意義を推定することができ、今後AMF及びAMF受容体の系との相関関係を明らかにすることで、肺癌症例の層別化、個別化に結び付くことが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肺癌におけるAkt及びEGFRの発現に関しては順調に解析が進んでいる。症例をさらに増やしながら、臨床病理学的各因子との相関についても検討を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は更に症例を蓄積し、Aktに関する解析を一層推進するとともに、AMF及びAMF受容体の系についても検討を進める。また、PETの所見と各因子の発現との相関についても検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験機器、試薬などについては既存のものを使用することができた。
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次年度使用額の使用計画 |
実験機器、試薬など消耗品に充当させる予定である。
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