研究課題/領域番号 |
15K10271
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
松林 純 東京医科大学, 医学部, 准教授 (00338790)
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研究分担者 |
大平 達夫 東京医科大学, 医学部, 教授 (40317847)
池田 徳彦 東京医科大学, 医学部, 教授 (70246205)
高梨 正勝 東京医科大学, 医学部, 講師 (80312007)
岩館 寛大 山口東京理科大学, 工学部, 講師 (70279107)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 粘液産生性腺癌 / miRNA / KRAS / MAPK |
研究実績の概要 |
原発性肺癌には従来の治療に抵抗性を示す予後不良な症例が多く、その病態の解明および新規治療法の確立が急がれる。今年度も、当院呼吸器甲状腺外科と、原発性肺癌の画像を含む臨床像と病理像の対比を含み、臨床病理学的な研究を行い、肺癌の病態の解明に寄与してきた。 EGFRやALK遺伝子に変異のある症例に対しては、新規の分子標的治療法が開発され、従来の化学療法と比較して著効例が多い。しかしながら、原発性肺腺癌において、遺伝子異常の頻度が比較的高いKRASに対しては、分子標的治療法は確立していない。本研究では、KRAS遺伝子異常をきたす原発性肺腺癌に焦点を絞り、KRASを標的とするmiRNA を応用した、新規治療法の開発を目指すことを目的とする。 当院呼吸器外科で切除された肺癌手術検体のうち、病理組織学的に腺癌と診断された症例を用いる。これまで原発性肺癌の病理組織診断は、WHO分類第3版に準拠し作成された肺癌取り扱い規約第7版に基づいてなされている。近年IASLC/ERS/ATS の原発性肺腺癌の新分類が提唱されたが、この分類は予後などの臨床病理学的な要素が加味されており、2015年にはWHO分類第4版は、IASLC/ERS/ATSの腺癌の新分類に準拠して作成されている。これらの背景を踏まえて、原発性肺腺癌について、過去10年に遡り、新WHO分類を用いて再度診断し、肺腺癌の病変の局在 (中枢型・末梢型)、大きさ、組織亜型、分化度、血管侵襲、リンパ管侵襲、胸膜浸潤、肺内転移、胸膜播種、病理病期についてデータベースを一新した。 また、ヒト肺癌組織中のKRASやMAPKについて免疫組織化学的に評価するために、条件検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
原発性肺腺癌について、過去10年に遡り、2015年に発刊された新WHO分類を用いて再度診断し、データベースの作成を行い、粘液産生性腺癌と対象群の腺癌症例を選択した。 また、ヒト肺癌組織中の対象として考えているmiRの発現量を検討する前に、KRASや下流のMAPKの発現量や程度を評価するために、real time PCRや免疫組織化学の条件検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト肺癌組織中のKRASとmiR-143 の発現量の確認などの生化学的な研究(定量的PCR 法及びin situ hybridization法による核酸レベル及び、免疫染色等のタンパク質レベルでの確認)を行う上で、生化学的な研究を進める中で、これまで他の研究において共同研究してきた研究者に、平成28年度から29年度まで、特にmicroRNA、KRASあるいはMAPKのRNAの詳細な分析について、分担研究者として参画して頂くことになった。 同研究者は、工学部の応用化学科に所属しており、これまでに中枢神経系における組織性カリクレインの役割について研究を行っている。この研究の中で,mRNAの発現解析,RNAiによる組織性、カリクレインのノックダウンやウエスタンブロッティング解析など核酸やタンパク質の生化学的な解析手法を用いており,これらの実験手法に精通している。そのため同氏が研究分担者に加わることにより本研究のさらなる発展が期待できる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、原発性肺腺癌について、2015年に発刊された新WHO分類を用いて再度診断し、データベースの作成を行った。また、現在、ヒト肺癌組織中の対象として考えているmiRの発現量を検討する前に、KRASや下流のMAPKの発現量や程度を評価するために、real time PCRや免疫組織化学の条件検討を行っている。次年度以降、ヒト肺癌組織やヒト肺癌細胞株を用いたmicroRNAに関する生化学的な研究を進める予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
ヒト肺癌組織やヒト肺癌細胞を用いた生化学的な研究 (KRAS、microRNA、MAPKなどの核酸及びタンパク質の発現量の分析など) において、必要な試薬の購入に充てる。
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