研究課題/領域番号 |
15K10271
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
松林 純 東京医科大学, 医学部, 准教授 (00338790)
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研究分担者 |
大平 達夫 東京医科大学, 医学部, 教授 (40317847)
池田 徳彦 東京医科大学, 医学部, 教授 (70246205)
高梨 正勝 東京医科大学, 医学部, 講師 (80312007)
岩館 寛大 山陽小野田市立山口東京理科大学, 工学部, 准教授 (70279107)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ヒト肺腺癌 / miR-143 / KRAS / 3’-UTR |
研究実績の概要 |
原発性肺癌には従来の治療に抵抗性を示す予後不良な症例が多く、その病態の解明や新規治療法の確立が急がれる。本研究ではKRAS遺伝子異常をきたす原発性肺腺癌に焦点を絞り、KRASを標的とするmiRNAを応用した、新規治療法の開発を目的としている。 平成28年度は、主にヒト肺腺癌細胞における、miR-143によるKRASへの影響を調べるために必要な条件検討を行った。はじめにKRAS発現量をreal time 定量的PCRにより求める条件検討をするとともに、real time 定量的PCRを用いたKRAS変異型の簡易検出方法の確立を行った。また、miRNAによるKRASの活性化や不活性化を検出するために、下流経路であるRaf、MEK、ERKの活性化をウエスタンブロット解析により検出する条件検討を行い、これらの分子の活性化を検出する条件を最適化した。 さらにmiRNAのデーターベースを検索し、miR-143 以外のmiRNAでKRASの3’-UTR領域に相互作用する可能性があるmiRNAの候補を探した。その結果、KRASの3’-UTRと良い相補性を示す61種類のmiRNAの候補が見つかり、257種の相互作用する可能性があるmiRNAの候補が見つかった。これらの候補のうち相補性が高く、相互作用する可能性が高いmiRNAがいくつか見つかったが、これまでにKRAS発現を抑制することが報告されているmiRNAとは必ずしも一致していなかった。このことは、これまで報告にあったmiRNA以外にも、KRASとより強く相互作用する効果的なmiRNAが存在する可能性を示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
生化学的な研究について、解析の条件を定めるための基礎的な実験を行い、十分な条件検討をした。今後、設定した条件をもとにヒト肺癌細胞株を用いて、KRAS及び下流のMAPKに関して、核酸レベル、タンパク質レベルで解析を行う。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度では、研究計画で述べられていたmiR-143に加え、KRASとの相互作用が報告されているmiRNAのうち、RASの3’-UTRとより強く相互作用すると考えられるmiRNAについてヒト肺腺癌細胞株、KRAS変異ヒト肺腺癌細胞株を用いた研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
28年度には、生化学的な研究について、解析の条件を定めるための基礎的な実験を行い、十分な条件検討をしたが、29年度には、適切な条件をもとにヒト肺癌細胞株を用いて、KRAS及び下流のMAPKに関して、核酸レベル、タンパク質レベルで解析を行う必要がある。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度では、研究計画で述べられていたmiR-143に加え、KRASとの相互作用が報告されているmiRNAのうち、RASの3’-UTRとより強く相互作用すると考えられるmiRNAについてヒト肺腺癌細胞株、KRAS変異ヒト肺腺癌細胞株を用いた研究を行う。内在性miRNA と同様の機能を発現する合成二本鎖RNA (miScript miRNA Mimics) やmiRNA inhibitorを用いて、RASの3’-UTRとより強く相互作用すると考えられるmiRNAが細胞内のKRASに与える影響を調べる。このためにリアルタイムPCRによるKRAS発現量解析やウエスタンブロット解析によるMAPKの活性化の有無を調べる。さらに、colony forming assayなどによりこれらのmiRNAがKRASの作用や腫瘍細胞株に与える影響を調べる。
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