研究課題
昨年度に引き続き、肺がん細胞を用いた実験を行った。具体的には、KRAS変異を有する肺がん細胞に対するmiRNAの影響の確認と増殖抑制効果について、肺腺がん細胞のA549細胞(KRASの配列12残基目に変異ありGly→Ser)とABC-1細胞(KRAS変異なし)を用いて調べた。昨年度に、KRASの3’-UTR領域に相互作用する可能性があるmiRNAの候補をデーターベースで検索した際に着目した、miR143を含む4種類のmiRNA mimicをRNAiMAX Lipofectamineでトランスフェクションし、24時間後と48時間後に全RNAを抽出した。全RNAを逆転写してcDNAを調製した後、このcDNAを鋳型DNAとして、KRAS、Cyclin D1、Cyclin D2、Cyclin D3、Cyclin E1、Ki67、p21遺伝子の発現量をリアルタイムPCRで解析した。さらに96穴プレートに細胞を500~1000/wellずつ播種し、miRNA mimicをトランスフェクションして、7日目まで経時的に細胞数を定量し、miRNAが細胞増殖へ与える影響を調べた。細胞数の定量はCell Counting Kit-8を用いた。A549細胞とABC-1細胞ともに、いずれのmiRNAをトランスフェクションしても、明らかな増殖速度とKRASへの影響は認められなかった。1種類のmiRNAのみ、顕著な増殖抑制が認められたが、KRAS発現はわずかに抑制されていた程度顕著ではなかった。一方で、4種類のmiRNA mimics をトランスフェクションした時は、24時間後にKRAS遺伝子の抑制が認められた。以上の結果から複数のmiRNAを作用させることにより、KRAS発現を抑制することが示された。
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Journal of Thoracic Disease
巻: 10 ページ: 973-983
10.21037/jtd.2018.01.61.