研究課題/領域番号 |
15K10272
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
伊豫田 明 東邦大学, 医学部, 教授 (10302548)
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研究分担者 |
肥塚 智 東邦大学, 医学部, レジデント (10749378)
牧野 崇 東邦大学, 医学部, 助教 (30459797)
大塚 創 東邦大学, 医学部, 助教 (70408855)
秦 美暢 東邦大学, 医学部, 准教授 (90349910)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 呼吸器外科 / 肺癌 / 個別化 / 治療 / 分子生物 |
研究実績の概要 |
本研究に関しては、東邦大学医学部倫理委員会へ研究計画書を提出し承認を得た(東邦大学 平成27年1月7日 課題番号26232「気腫合併特発性肺繊維症を伴う原発性肺癌切除例の検討」、平成28年1月15日 課題番号27085「肺腺癌に対する病理組織学的および分子生物学的予後因子の解析」)。現在、当院で外科切除された腫瘍径2cm以下の小型肺腺癌手術症例を対象とし、データベースより症例を抽出して、年齢・性別・喫煙歴・腫瘍マーカー・positron emission tomography (PET)のstandardized uptake value(SUV)値・臨床病期・手術方法・病理病期・術後補助療法の有無・術後再発の有無・予後等の臨床データをレトロスペクティブに集積している。また、病理組織での肺胞上皮置換性増殖部位の面積比率と生存期間との関係を統計的に分析するため、対象症例の切除標本スライドをデジタルデータに変換し、対象病理標本における肺胞上皮置換性増殖を示す部位の面積比率を測定中である。平成27年学会発表として、LCNEC切除例におけるEGFR遺伝子変異について肺腺癌と比較検討した「LCNEC切除例におけるEGFR遺伝子変異の検討-遺伝子検査と免疫組織学的検査を用いた肺腺癌との比較検討-」を第56回日本肺癌学会学術集会で報告した。また、「肺癌術後5年以上経過後の第二癌手術例に対する検討」、「cT4非小細胞肺癌に対するCBDCA/DOCを用いた術前導入化学放射線療法」「cN2IIIA非小細胞肺癌に対するCBDCA/DOCを用いた術前導入化学放射線療法」を第115回日本外科学会定期学術集会で報告した。論文として、症例報告4編がacceptされ、acknowledgementに本研究費のサポートを受けた趣旨を記載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東邦大学の臨床情報、臨床検体を使用した研究の遂行をすすめており、東邦大学医学部倫理委員会へ研究計画書を提出し承認を得た(東邦大学 平成27年1月7日 課題番号26232「気腫合併特発性肺繊維症を伴う原発性肺癌切除例の検討」、「平成28年1月15日 課題番号27085肺腺癌に対する病理組織学的および分子生物学的予後因子の解析」)。本年度は、臨床データの解析、発表、論文化をすすめたため予算執行も発表、論文化が主体となり、学術集会総会での研究発表4件と英文論文化4件でき、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
腫瘍径2cm以下の小型肺腺癌手術症例を対象とし、臨床データを集積し、切除標本スライドを用いて肺胞上皮置換性増殖部位の面積比率を計測中であるが、今後は肺胞上皮置換性増殖部位の面積比率と予後との関連を解析する。また、切除標本スライドを用いて予後不良因子であるとする報告が見られるmicropapillary pattern、tumor spread through air spaceの存在の有無、リンパ節転移、リンパ管浸潤、脈管浸潤、胸膜浸潤等の病理組織所見を検索し、予後との関連を解析する予定である。更にEGFR遺伝子変異、EGFR変異特異的蛋白発現、EGFR遺伝子増幅、EML4-ALK融合遺伝子、ALK蛋白発現、p53遺伝子変異、K-ras遺伝子変異、HER2蛋白発現、VEGF蛋白発現、c-kit遺伝子変異、c-kit蛋白発現など分子生物学的マーカーを検索して、病理組織学的因子との関連を検討する。病理組織学的検索と分子生物学的検索の両方からアプローチして肺腺癌における予後を予測する診断システムを構築し、肺腺癌の予後改善のために有用な治療方法を検討する研究を推進していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に予定していた研究は臨床データ集積が中心となったため、検査費用が支出できず繰り越しとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度分繰り越し分と次年度の助成金を、東邦大学における研究検査費用ならびにデータ解析費用として、またその研究成果を国内で報告するための論文作成費用等に使用予定である。
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