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2015 年度 実施状況報告書

肺腺がん術後再発と化学療法応答性に関わる因子の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K10275
研究機関国立研究開発法人国立がん研究センター

研究代表者

齋藤 元伸  国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (90611749)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード肺腺がん / ドライバー遺伝子 / 遺伝子変異
研究実績の概要

国立がん研究センター中央病院にて手術切除された原発性肺腺がん症例のうち、およそ250例が多層的解析研究に組み込まれている。そのうち、術後再発が認められなかったのが約50例、術後脳転移と診断され手術切除されたのが16例(同一症例からの肺原発巣と脳転移巣のペア症例)、術後再発しプラチナダブレット治療を受けたのが約80例である。これらすべての症例のドライバー遺伝子変異情報と臨床病理学的因子、さらにRECIST に基づく治療効果判定がなされているかどうかを再確認し、臨床情報などをアップデートした。これらの情報を基に解析に用いる多層的解析データを抽出し、解析に適するかどうかを確認し、不適な症例を除いて解析に進むことにした。脳転移に関連する因子の解明は、同一症例における肺原発巣と脳転移巣での比較解析にておこない、また、肺原発巣にて脳転移に関する因子の解明は脳転移をきたした群と脳転移以外の転移をきたした群、もしくは転移をきたさなかった群において比較解析をおこなう。また、肺がんのドライバー遺伝子ごとに臨床情報学的因子が異なるかどうか、さらに、遺伝子変異を含む多層的解析にて相違が認められるかどうかを検討した。その結果、ドライバー遺伝子融合陽性肺がんではがん関連遺伝子やSWI/SNF遺伝子など全遺伝子変異数が少なく、一方ドライバー遺伝子陰性肺がんでは遺伝子変異の高度な蓄積が認められることが明らかとなった。このことは、ドライバー遺伝子融合が発がんに大きく関与し、その治療標的とすることの有用性を示している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

解析に用いる症例の絞り込みと臨床病理学的情報の整理を終えた。また、転移再発や治療効果に関する因子の比較解析やさらなる検討に値する候補因子の選定を終えた。

今後の研究の推進方策

脳転移や治療応答性のバイオマーカー候補とされた因子については、独立した群を用いての検証研究や、細胞実験での機能解析といった解析精度を上げての検証を行う予定である。上記にて確認された因子については、ドライバー変異に加えて、性別、年齢、喫煙歴、TNM stage、治療、RECIST 効果判定などと対比して、臨床病理学的因子との関連を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

前年度までは、すでに実験済のデータを用いての解析であったためで、当初の予定通り物品費の多くは今年度以降におこなう独立した群での検証研究や細胞実験などに用いられる予定である。

次年度使用額の使用計画

独立した群での解析であれば、遺伝子変異をSanger シークエンスやDeep re-sequencing などにておこない検証し、mRNA やマイクロRNA 発現であれば、半定量的PCR(Taqman アッセイなど)法をおこなって、その発現量の測定をおこなう。さらに細胞実験などで同定された因子のさらなる機能的意義の解明をおこなう。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2015 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] National Institutes of Health(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      National Institutes of Health
  • [国際共同研究] IMPPC(Spain)

    • 国名
      スペイン
    • 外国機関名
      IMPPC
  • [雑誌論文] Development of lung adenocarcinomas with exclusive dependence on oncogene fusions.2015

    • 著者名/発表者名
      Saito M, Shimada Y, Shiraishi K, Sakamoto H, Tsuta K, Totsuka H, Chiku S, Ichikawa H, Kato M, Watanabe S, Yoshida T, Yokota J, Kohno T
    • 雑誌名

      Cancer Research

      巻: 75 ページ: 2264-71

    • DOI

      10.1158/0008-5472

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Comparisons between mouse and human studies will help the prevention, diagnosis, and treatment of the deadliest type of lung cancer.2015

    • 著者名/発表者名
      Kohno T, Saito M.
    • 雑誌名

      Journal of Thoracic Oncology

      巻: 10 ページ: 551-2

    • DOI

      10.1097/JTO.0000000000000477

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ALK/RET/ROS1遺伝子融合陽性肺腺癌の遺伝子変異プロファイルとそのマウスモデルの検討2015

    • 著者名/発表者名
      齋藤元伸、白石航也、横田淳、竹之下誠一、河野隆志
    • 学会等名
      第53回癌治療学会
    • 発表場所
      京都市
    • 年月日
      2015-10-29
    • 国際学会
  • [学会発表] Genomic focal amplification of the PD-L1 gene in small cell lung cancer2015

    • 著者名/発表者名
      齋藤元伸、白石航也、岩川麗香、竹之下誠一、横田淳、河野隆志
    • 学会等名
      第74回日本癌学会
    • 発表場所
      名古屋市
    • 年月日
      2015-10-08
    • 国際学会
  • [学会発表] マイクロRNAを用いた肺腺がん術後再発に対するプラチナダブレット治療の効果予測2015

    • 著者名/発表者名
      齋藤元伸、白石航也、横田淳、Curtis C. Harris、竹之下誠一、河野隆志
    • 学会等名
      第24回癌病態治療研究会
    • 発表場所
      栃木県日光市
    • 年月日
      2015-06-25
  • [図書] 次世代シークエンサー解析による新しい肺がん治療標的分子の発見. 呼吸器疾患診療の最先端呼吸器疾患診療の最先端2015

    • 著者名/発表者名
      齋藤元伸, 河野隆志
    • 総ページ数
      502
    • 出版者
      先端医療技術研究所
  • [備考] 融合遺伝子を標的としたがん治療法の開発(ゲノム生物学研究分野)

    • URL

      http://www.nccri.ncc.go.jp/s010/010/010/20151209215834.html

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公開日: 2017-01-06   更新日: 2022-01-24  

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