研究課題
前年度までに解析に回った症例のドライバー変異、性別、年齢、喫煙歴、TNM stage、治療、RECIST 効果判定などといった臨床病理学的因子の情報をすべてアップデートした。解析を進める中で、肺腺癌のドライバー遺伝子ごとに分類した症例群で、特徴あるパッセンジャー遺伝子変異の分布が認められたため、それに注力して解析をすすめることとした。その結果、融合遺伝子陽性肺腺癌はがん関連遺伝子変異や他の遺伝子変異の頻度が低く、融合遺伝子自体で癌が発生していることが示された。また、ドライバー遺伝子変異が認められない肺腺癌はがん関連遺伝子変異やその他の遺伝子変異の極端な蓄積が認められた。この群は男性かつ喫煙者の割合が多く、喫煙により変異が蓄積するという特徴が明らかとなった。さらに、肺腺癌における各ドライバー遺伝子の割合が日本と欧米で異なることを見い出し、日本においてはEGFR変異陽性癌が最多だが、欧米ではKRAS変異陽性癌が最多で、次いでEGFR変異陽性癌が多いことを報告した。また、これらドライバー遺伝子の割合を性別や喫煙の有無によってさらに分類して、喫煙者にはKRAS変異陽性癌が多く、非喫煙者にはEGFR変異陽性癌と融合遺伝子陽性癌が多いことを報告した。KRAS変異に対する特異的な阻害剤は開発途中であるため、欧米においては個別化医療の適応にならない肺腺癌患者が多いことが示唆された。以上より、治療法の選択においてドライバー遺伝子の同定が治療に有益な結果をもたらすことが示唆された。
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