肺腺癌の多層的解析を行い、融合遺伝子陽性癌はがん関連遺伝子変異や他の遺伝子変異の頻度が低く、融合遺伝子自体で癌が発生していることが示された。また、ドライバー遺伝子変異陰性肺腺癌はがん関連遺伝子変異などの極端な変異の蓄積が認められた。次に、各ドライバー遺伝子の割合を日本と欧米で比較した。日本においてはEGFR変異陽性癌が最多だが、欧米ではKRAS変異陽性癌が最多で、次いでEGFR変異陽性癌が多かった。KRAS変異に対する特異的な阻害剤は開発途中であるため、欧米においては個別化医療の適応にならない例が多いことが示唆された。以上より、ドライバー遺伝子の同定が治療に有益な結果をもたらすことが示された。
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