研究課題/領域番号 |
15K10277
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鬼塚 正孝 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (40214176)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 癌細胞 / 胸腔 / 胸管 / 肺癌 / 再発 / 光刺激 / ChR2 |
研究実績の概要 |
肺癌の手術の前後に胸腔内を洗浄して採取した細胞をパパニコロウ染色をして判定した結果、癌細胞が陽性だった場合、癌の再発率が非常に高くなることはよく知られており、当科でもその傾向は明らかであった。胸腔内に存在する癌細胞の移動のメカニズムを解析して再発の防止に役立てようと考えたのが本研究の動機であった。 しかし、当初の動物モデルの作成には非常な困難があり、未だに再現性の確実なモデルを確立していないのが現状である。モデル作成を根本的に見直し、別の角度から胸腔内の浮遊細胞の移動を生理学的に追及しようと考えている。 最も興味深く考えて、応用を模索しているのが、光刺激による筋収縮(平滑筋収縮)である。T. Bruegmannらは、light-sensitive channel Channelrhodopsin-2 (ChR2) を選択的に遺伝子導入したマウスで、光刺激によって声帯を振動することに成功した(DOI:10.1038/ncomms8153)。私はこの方法に注目し、光刺激で胸管拍動が亢進するモデルを作成したい。胸管の細胞輸送を光刺激によって制御することができれば、新たな進行癌の治療法が見い出せるかもしれない。年度内に研究が完成しなくても、さらに長期にわたって実験を続行したい。 (別な観点では、全身のリンパ管の収縮も光で制御できれば、体幹・末梢の浮腫の治療にもつながり、形成外科的応用も可能かもしれない。)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の動物モデルの作成には非常な困難があり、未だに再現性の確実なモデルを確立していない.
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今後の研究の推進方策 |
胸腔内の癌細胞の胸管内での移動をコントロールすることが非常に困難で、未だに再現性の確実なモデルを確立していない。 モデル作成を根本的に見直し、別の角度から胸腔内の浮遊細胞の移動を生理学的に追及する。 光刺激による平滑筋収縮を応用して、胸管のパルス拍動を亢進さる。T. Bruegmannらの方法(DOI:10.1038/ncomms8153)、light-sensitive channel Channelrhodopsin-2 (ChR2)を選択的に遺伝子導入したマウスで、光刺激によって胸管を強く拍動させる。すなわち、胸管の細胞輸送を光刺激によって制御する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の動物モデルの作成には非常な困難があり、未だに再現性の確実なモデルを確立できず研究が遅れているため
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次年度使用額の使用計画 |
来年度は当初予定していなかった実験を追加しそのための試薬・備品を追加購入する予定である。また、最終年度のため、情報収集のための学会出席の機会が増える予定である。
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