研究課題/領域番号 |
15K10280
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
加藤 靖文 東京医科大学, 医学部, 講師 (70424489)
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研究分担者 |
松林 純 東京医科大学, 医学部, 准教授 (00338790)
吉田 浩一 東京医科大学, 医学部, 客員講師 (00424490)
大平 達夫 東京医科大学, 医学部, 教授 (40317847)
池田 徳彦 東京医科大学, 医学部, 教授 (70246205)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 悪性胸膜中皮腫 / 反応性中皮 / Klotho蛋白 / 免疫組織学的染色 / プロテオーム解析 |
研究実績の概要 |
悪性胸膜中皮腫(MPM)47検体、反応性中皮(RM)42検体を対象とし、免疫組織学的検査(IHC)を用いたKlotho蛋白の発現について、検討した。 MPM検体の内訳は生検と手術検体のホルマリン固定標本を用い、RM検体は自然気胸に伴うBullaの切除標本47例を用い、破裂Bullaの修復過程、反応で増加した胸膜上の中皮細胞の観察が容易な標本を抽出した。 結果はMPMで0 (negative)が7例、1+ (weak)が37例、2+(moderate)が3例で3+(strong)は0例であった。RMでは0が0例、1+が34例、2+が8例で3+は0例であった。解析するとRMは全例陽性を示していた。一方、MPMは7例にタンパク発現の消失を認めた。以上より、Klotho蛋白の発現消失は悪性所見の証明となりえる可能性が示唆された。Klotho蛋白の陰性化することを目的としたスクリーニング検査とすると感度14.9%ながらも特異度は100%で陽性的中率も100%, 陰性的中率は51.2%であった。MPMのKlotho蛋白発現には明らかにRMに比べ、減少傾向を認め、Klotho蛋白ががんの浸潤に関わる最近の知見と矛盾ない結果であった。完全消失にならなかった理由に検体が手術標本と生検標本が混在していたため、MPMのstaging(進行度)にも差があったためと推測される。今回の研究結果より、Klotho蛋白の消失にすることにより、悪性中皮細胞の診断補助になり得る可能性が示唆された。この結果を2018年10月の欧州腫瘍外科学会での発表準備中である。 これらの結果を踏まえ、MPM 手術例5例とRM5例を抽出し、未知なる消失、出現蛋白の同定のため、プロテオーム解析を施行した。現在、結果解析中で2018年度中に解析結果が待たれているところであり、結果判明次第、学会発表、論文作成予定である。
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