研究課題/領域番号 |
15K10284
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
穂刈 正昭 北海道大学, 医学研究科, 客員研究員 (30622807)
|
研究分担者 |
七戸 秀夫 北海道大学, 大学病院, 准教授 (80374479)
中山 若樹 北海道大学, 医学研究科, 講師 (40421961)
寳金 清博 北海道大学, 大学病院, 教授 (90229146)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | くも膜下出血 / 動物モデル / 核医学的検討 / 脳保護薬 / 細胞治療 / 脳低温療法 |
研究実績の概要 |
ラット重症くも膜下出血モデルの作成法を確立した。頚動脈から糸を22~28mm誘導し、頭蓋内内頚動脈終末部で血管穿孔させる。成功すると直後に瞳孔散大を認め、麻酔覚醒遅延もみられる。それらの所見がないもの、直後の死亡(予備実験で約10%)は研究から除外する。現時点で100匹程度のモデル作成を行い、perforation modelの手技に精通し、安定した成績を得ることが可能となった。 現在までに、組織学的評価(脳槽での血腫量と局在、マイクログリアの活性化、グリオーシスの形成)、行動学的評価(Neurological severeity score; NSS)、核医学的評価(脳内炎症性マーカーであるTSPOリガンド、18F-DPA714 PET)を行っている。この中で核医学的評価に関しては、すでに確立されたラット脳梗塞モデルを使用して、画像化の予備実験を行っている。PETにより、脳梗塞周囲にTSPOリガンドの高い集積が生じることを明らかにし、さらに細胞治療によりその集積が減少することを示した。すなわち、細胞療法による脳梗塞後の過剰な炎症所見を抑制する効果を示すことに成功した。この研究成果は、国際脳卒中学会(2017年2月、米国ヒューストン)で報告したが、現在、国際学術誌に投稿準備中である。 今後は、ラット重症くも膜下出血モデルに対する脳保護薬投与、脳低温療法、細胞治療などの治療介入実験に移行し、18F-DPA714 PETによる評価を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
核医学的評価(脳内炎症性マーカーであるTSPOリガンド、18F-DPA714 PET)は、すでに確立されたラット脳梗塞モデルを使用した、画像化の予備実験段階であるが、PETにより細胞療法による脳梗塞後の過剰な炎症所見を抑制する効果を示すことに成功した(国際脳卒中学会で報告)。この画像評価法はラット重症くも膜下出血モデルのみならず、脊髄損傷や頭部外傷モデルの治療効果も評価可能であり、さらには炎症性腸疾患等にも応用可能と考えられ、非常に意義深い。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、ラット重症くも膜下出血モデルに対する脳保護薬投与、脳低温療法、細胞治療などの治療介入実験に移行し、18F-DPA714 PETによる評価を行う予定である。また、18F-DPA714 PETの他疾患モデルへの応用も視野に入れる。
|