研究課題/領域番号 |
15K10289
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
井上 敬 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (70326651)
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研究分担者 |
冨永 悌二 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00217548)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | MRI / 脳循環 / 非侵襲 / 脳卒中 / バイオマーカ |
研究実績の概要 |
今回の研究では、臨床用MRIを用いることにより、放射性同位元素・造影剤を使用しない脳循環代謝評価を行い、脳卒中発症危険因子予測、術後評価、転帰予測に寄与することおよび脳卒中に関与するバイオマーカ探索を目的とした。 初年度である平成27年度は健常ボランティアを中心に、撮像条件の最適化を検討する予定としていた。実際の撮像法としては、MRIはスピンラベリング法を用いて行った。またMRAによる半定量的脳循環予備能予測に関しても検討を行った。同一症例において、SPECTでは動脈血および静脈血を採取することによる、定量CBFを測定した。MRI装置は3.0および1.5 Tesla MRI装置を使用した。さらに健常ボランティアに加え、脳血管性障害を有する症例においての検討も平行して行った。この際には、MRSによる脳温および代謝産物測定も施行した。MRIで測定した脳血流量、脳温とSPECTで測定した脳血流量、脳循環予備能を比較検討した。さらに脳卒中バイオマーカとしては酸化LDLに着目し、急性期及び慢性期に採血することによりその経時的変化を検討した。 健常ボランティア症例において、正常値の推定、およびMRI,SPECT間の良好な挿管会を確認した。さらに、SPECTによるCBF定量測定に関しては動脈血と静脈血の間で良好な相関が得られ、今後はより侵襲性の低い静脈採血による定量CBF計測が可能となった。 バイオマーカの探索では出血性脳卒中と虚血性脳卒中では異なる傾向がみられ、これを現在論文化している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に予定していた状況と比べ、実際の研究内容はほぼ予定通りと考えられる。脳循環定量法に関しては、MRIによる完全非侵襲CBF測定が有効なことが本研究により、明らかになっている。さらにgold standardとして、広く用いられている動脈血採血によるSPECT CBF測定に関しても、静脈血採血による定量CBF測定が可能であることが本研究で明らかになった。本研究結果は、予想以上の良好な結果と考えられた。代謝評価に関しても、従来は放射性同位元素を用いる手法が主流であったが、本研究で開発した温度測定MRSにより、非侵襲的に評価が可能となった。 バイオマーカ探索においてもこれまで確認されていない知見が得られている。 以上、平成27年度は予定通りまたはそれ以上の研究成果であったと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、バイオマーカのより詳細な検討を行うことを予定している。さらに、簡便な測定法に関しても研究を行う予定であるまた、定量SPECTも静脈血採血で可能となったことから、より多くの症例で検討が可能と考える。以上のことより、急性期症例および手術前後症例における検討を追加することが可能となる予定である。さらに平成27年度に評価した症例の中期的経過観察結果も取得可能となる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は予定していた症例数よりも少数となったため、経費が少額となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
バイオマーカ探索の症例数及び検査項目を増やす予定であり、そのための経費として使用する。
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