研究課題/領域番号 |
15K10290
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 昭喜 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (80148874)
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研究分担者 |
藤村 幹 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (00361098)
麦倉 俊司 東北大学, 大学病院, 准教授 (20375017)
森 悦朗 東北大学, 医学系研究科, 教授 (30368477)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | くも膜下出血 / 動脈瘤 / 記憶障害 / 高次脳機能障害 |
研究実績の概要 |
1950年以降、前交通動脈瘤の外科的治療後に生じる健忘症は、数多く発表され、患者のその後の「生活の質」を低下させる最大の要因であると考えられている。1970年以降、前交通動脈からの穿通動脈が記載され、1990年代にはその中で最大かつ不対(1本)で両側性に分布するsubcallosal arteryの発見があった。以来、最近は、穿通枝特にsubcallosal arteryの損傷が、その灌流域に脳梗塞を起こして健忘症の原因となっている可能性が指摘され、術中のその血管を温存する必要性が強調されてきている。 術後健忘症に関しては従来から神経神学的検討がなされてきたが、MRI画像を使っての詳細な評価は困難であった。従来の2D-MRIでは径0.5mmであるsubcallosal artery灌流域に生じうる微小な梗塞の評価、局在の同定には分解能が絶対的に不足していたからである。そのため、神経心理学的に極めて特徴的な所見を呈する健忘症であるにもかかわらず、心理検査―画像所見との詳細な比較検討がされてこなかった。従って健忘症の重症度、長期予後と画像上の責任病巣との関係も明らかになっていない。前交通動脈瘤治療後の健忘症患者18人を対象に3-テスラ(T)高分解能3D-MRI画像を用いて健忘症の責任病巣として従来より推定されているsubcallosal artery領域の梗塞が同定可能かの検討を行った。subcallosal artery領域の梗塞は18人全員に認められ、全員に記憶回路の重要な部分を形成する脳弓柱を含む梗塞が確認された。現在、術後健忘症を生じていない患者を含む動脈瘤手術例の連続患者を対象に、前向き研究を施行しており、この研究によりsubcallosal arteryの損傷が記憶障害の原因であることを検証し、また健忘症の重症度、長期予後との関係を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前交通動脈瘤治療後の健忘症患者18人を対象に3-テスラ(T)高分解能3D-MRI画像を用いて健忘症の責任病巣として従来より推定されているsubcallosal artery領域の梗塞が同定可能かの検討を行った。subcallosal artery領域の梗塞は18人全員に認められ、全員に記憶回路の重要な部分を形成する脳弓柱を含む梗塞が確認された。現在、術後健忘症を生じていない患者を含む動脈瘤手術例の連続患者を対象に、前向き研究を施行しており、この研究によりsubcallosal arteryの損傷が記憶障害の原因であることを検証し、また健忘症の重症度、長期予後との関係を明らかにする。
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今後の研究の推進方策 |
現在、術後健忘症を生じていない患者を含む動脈瘤手術例の連続患者を対象に、前向き研究を施行しており、この研究によりsubcallosal arteryの損傷が記憶障害の原因であることを検証し、また健忘症の重症度、長期予後との関係を明らかにする。 また、3D-MRIを用いて、subcallosal arteryの描出、動脈瘤との位置関係の評価をおこなう。これにより動脈瘤手術時の術後健忘症のリスク診断をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
MRI画像の解析に関して、研究計画作成当初に計画していた従来の解析法では詳細な評価と機能的解析が出来ないことが判明したため、次年度使用額が生じた。今回、最近臨床応用が進んでいる新しい機能的解析法を加えることが望ましいと考えた。従って次年度は研究計画の変更に加え、オーダーメードした、高性能ワークステーションの購入とニューバージョンの3D/4D可視化画像解析用ソフトウェアの購入を行う予定である。これらの購入により、研究計画の変更にともなう正常被験者を含めた機能的画像解析が順調に進むことが予想される。
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次年度使用額の使用計画 |
オーダーメードした、高性能ワークステーションの購入とニューバージョンの3D/4D可視化画像解析用ソフトウェアの購入に充てる予定である。これらの購入により、正常被験者を含めた多数例を対象にして、最近臨床応用が進んでいる新しい機能的解析法での評価が可能となる。
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