研究課題/領域番号 |
15K10291
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鶴嶋 英夫 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (50315470)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 脱分化脂肪細胞 / 幹細胞 / 脳梗塞 / 再生医療 |
研究実績の概要 |
未分化な細胞を脳梗塞巣へ移植することにより治療する再生治療の動物実験モデルを作製することにした。未分化細胞としては脱分化脂肪細胞を作製することにし、脳梗塞モデルはラット脳梗塞モデルを用いることにした。 【背景・目的】脳梗塞における細胞治療は多能性を有する様々な細胞を用いて研究がなされているが、簡便で侵襲の少ない細胞の採取・調製が望まれている。また、未分化な細胞を扱う際には長期的な腫瘍化の問題もある。我々は、これらの問題を解決しうる細胞源として脱分化脂肪細胞に着目した。脱分化脂肪細胞は成熟脂肪細胞を天井培養方法を用いて脱分化調整しており、多能性を有することが報告されている。本研究では脱分化脂肪細胞による脳梗塞治療効果について検討している。【方法】ラット一過性脳虚血モデルを作成し、24時間後に細胞を経静脈的に投与した。コントロール群はPBSを投与した。Day0、Day1、Day7、Day14で神経機能評価を行った。脳摘出はDay14に行い、脳梗塞範囲の評価を行った。【結果】脱分化脂肪細胞を投与した群で神経機能の改善が得られた。また、脳梗塞範囲は縮小する傾向がみられた。【結語】脱分化脂肪細胞は脳梗塞治療効果を有し、脳梗塞に対する細胞治療において新たな細胞源となり得るものと考えられた。 再生治療の動物実験モデルの作製に成功し、脳梗塞に対する治療効果も観察されている。次年度はこの動物モデルheDrug Delivery Systemを追加して治療の増強効果を観察する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の基本となる動物モデルの作製に成功している。また未分化細胞の供給源も脂肪細胞由来幹細胞を使用することで、将来の臨床的な可能性に関しても配慮している。将来的にはこの動物モデルにFGF-2を徐放するDrug Delivery Systemを追加することで、相乗的な脳梗塞治療効果が期待されること証明したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ラットに使用するDrug Delivery System (DDS)の作製を行う。ラット用のバーホールボタンの表面にFGF-2をコーチングし、この表面から脳梗塞の大脳表面にFGF-2が徐放されるようなDDSを作製予定している。このDDSについては基本的技術は当研究者が産業技術総合研究所に勤務ている時に完成している。これらの技術をラット実験モデル用に最適化を図る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年は動物実験モデルの作製が主な仕事であり、ラット購入などの経費しか使用しなかった。また計画ではDrug Delivery Systemに用いる薬剤であるFGF-2の購入を考えていたが、薬剤の保存などを考えて購入に関しては来年度へ繰り越すことにした。これに伴い来年度への予算の繰越が発生している。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度はDrug Delivery System (DDS)の開発があるため、これらに使用する薬剤の購入などに予算の使用を考えている。薬剤を含むDDSの開発研究に研究費が費やされると思われる。
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