研究課題
本研究では幹細胞による脳梗塞の治療研究とdrug delivery system (DDS)から放出される薬剤による生体内での移植細胞の生体内生存および分化コントロールの研究から構成されている。幹細胞治療に関しては、使用する幹細胞として脂肪由来幹細胞を考えており、この脂肪幹細胞単独での脳梗塞ラットに対する治療効果を研究している。また、DDSの研究としては現在脳梗塞巣に集積させるようなナノ粒子の研究をおこなっている。脂肪幹細胞に関しては脂肪組織から細胞を抽出する方法、およびその培養法をほぼ確立してた。急性期脳梗塞ラットへ動脈注射して、脳梗塞巣の縮小などの治療効果、また長期的には血管新生などの効果を確認している。さらに投与した細胞の一部は既存の血管組織への組み込まれていると思われる所見も確認されている。現在DDSの研究開発に移行しており、ナノ粒子に磁性体を含ませてナノ粒子を作製することに成功している。この粒子をin vitroの細胞実験で使用すると、磁力の有無で粒子の細胞に対する取り込みに差がで出ることが確認されている。また動物実験では磁力の効果で脳の特定の場所に粒子を集積させることができるか試みている。これまでに数匹の脳梗塞ラットの実験で脳梗塞巣の表面に置いた磁石の直下にナノ粒子が集積したと思われる所見をえている。今後さらにDDSに関しては、種々の技術を検討し、開発していく予定である。
2: おおむね順調に進展している
幹細胞を用いた脳梗塞治療においては、細胞の抽出、培養方法を確立しており、さらにその治療効果も確認している。DDSにおてはナノ粒子の作製までは成功しており、脳梗塞ラットでの梗塞巣への粒子の集積に関して確認している過程である。
これまでの作製したナノ粒子の脳内での集積のコントロール技術の研究を行う予定である。現在のところ脳梗塞ラットの実験では数例のラットで脳梗塞巣への粒子の集積に成功している。
平成28年度はナノ粒子の作製条件の検討などで、実際には試薬等はそれほどの購入はなかったため、ナノ粒子を用いた脳梗塞ラット治療モデルのみの研究となった。このため研究費の繰越が発生している。
平成29年度は動物実験とそれらの組織学的評価のため試薬等を使用する予定があること、また同時に新規のDDSの研究も開始するため、試薬等の購入が必要で研究費は有効に使用できるものと思われる。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
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