研究課題
動脈瘤モデルの作成およびCPB(cellulose porous beads)の留置:オスのウィスターラット12匹に対して麻酔をかけたのちに,頚動脈分岐部を露出し,外頸動脈を結紮して動脈瘤モデルを作成し,その瘤内にCPBを留置した.組織学的検討:術後,2週,6週,12週時に3匹ずつ安楽死させ,動脈瘤を採取した.瘤は生食で洗浄後10%ホルマリンで固定し,パラフィンに包埋後CPBが最大に見える割面を中心に4μmで切片を作成した.得られた切片はHE染色,Elastic van Gieson染色を行った.さらに血管内皮細胞の確認のためFactor VIIIを,血管平滑筋細胞をみるためにαSMAによる免疫染色を行った.結果:1)Elastic van Gieson染色:2週目ですでに開口部に新生組織の増生がみられ,12週目まで継続した.2)αSMA染色:2週目より開口部に要請の紡錘形細胞が存在し,12週目にも同様に存在した.3)Factor VIII: 2週目より1層の陽性細胞が存在し,12週目にも同様に存在した.12週までの結果では,動脈瘤の開口部には2週目から新生組織が増生し,12週目まで同様に存在した.免疫組織学的には表層に血管内皮細胞と思われる紡錘型細胞が存在し,その下に血管平滑筋細胞と思われる細胞が存在した.新生組織の異常増殖はなく,母動脈の血流は保たれていた.最終年度には,6か月後までの組織変化を観察する予定である.
2: おおむね順調に進展している
現段階ではCPB留置後12週までの組織採取,および免疫組織学的検討を終了した.以後,6か月後の組織採取にうつる予定であり,おおむね順調に進展していると考えている.
当初の計画通り研究を行う.具体的には6か月までの組織採取を行う.可能であれば12か月後までの変化も確認したい.すでに留置2週後より瘤の開口部には新生内膜と思われる膜様構造物が存在する.12週まではほぼ同じ形態でその構造物は存在する.それ以降,その構造物が変性し,瘤内への血流が再開するものか,それとも構造物は長期にわたり存在し,瘤内の血流の再開通を防ぐ役割を行うのかを確認する予定である.
平成28年度に動脈瘤モデルをさらに16体作成する予定であったが完遂できなかった.そのためラットの購入費用が余剰金となった.
平成29年度に新たに動脈瘤モデルを作成し,塞栓物質留置後6か月の組織学的検討を行う予定である.そのためのラット購入費用に使用する.
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)
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