研究課題
脳動脈瘤塞栓術には,現在プラチナ製コイルが主に使われている.しかし動脈瘤開口部が広い場合,開口部での新たな内皮形成が不十分であり動脈瘤が再発する場合がある.従来の動脈瘤内腔をコイルで充填するという方法から,動脈瘤開口部に強固な血管壁(新生内膜)を新たに誘導するための足場を瘤内におく,という発想の転換が必要と考えた.本研究の目的は,ラット脳動脈瘤内に多孔質足場(セルロースポーラスビーズ,cellulose porous bead: CPB)を留置することにより,動脈瘤開口部に新たな血管壁構造が誘導され,動脈瘤内への血流が永続的に遮断されるか否かを明らかにすることである.ラット動脈瘤モデルに,CPBを留置し,留置後,2周目,6週目,12週目,6カ月目,1年目で動脈瘤を採取し,瘤の開口部に新たな膜構造が構築されているかを確認し組織学的検討を行った.Elastic van Gieson染色で形態学的な変化を観察し,Factor VIIIにて内皮細胞がどこから出現するかを確認し,αSMAにて血管平滑筋細胞の出現を観察した.動脈瘤開口部にはCPB留置後2週間目で,血管平滑筋細胞が一層形成された.この層は6週目まで徐々に肥厚し,6か月後までその厚さを維持した.また血管平滑筋細胞の内側には血管内皮細胞が2週目より出現し,6週目までに開口部を完全に覆っていた.血管平滑筋細胞および血管内皮細胞が2週目より出現し,新生内膜として動脈瘤開口部を覆い,6週目までに新生内膜は肥厚し,以後その厚さを維持することが確認された.CPBは動脈瘤開口部に新生内膜を誘導する有用な足場となる可能性がある.
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
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