研究課題/領域番号 |
15K10300
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
栗波 仁美 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (10638555)
|
研究分担者 |
島村 宗尚 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座准教授 (60422317)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | RANKLペプチド / マクロファージ / ミクログリア / 炎症 / 脳梗塞 |
研究実績の概要 |
本年度は、MHP1の全身投与による効果の検討を行った。まず、MHP1が脳内に浸潤するか確認するために、FITCで標識したMHP1 200μgを脳虚血4時間後に頸静脈から静注し、FITCの免疫染色を行うことにより、脳実質へのMHP1の取り込みを検討した。投与5分後の脳梗塞側半球では、血管だけでなく、血管周囲および脳実質へのMHP1の浸潤が認められた。一方、投与1時間後では、FITCの発現が低下していたことから、MHP1は、脳梗塞による血液脳関門の破綻により脳実質に取り込まれるが、取り込まれている時間は比較的短時間であることが明らかとなった。この結果より、MHP1の効果発現のためには持続投与が必要であることが示唆された。 次に脳梗塞4時間後あるいは6時間後のいずれかにMHP1 300μgを静脈投与した後に336 μgを持続皮下投与し48時間後まで観察したところ、生食投与群では神経機能スコアが悪化したが、MHP1を投与したマウスでは、4時間後および6時間後に治療を開始したいずれの群においても神経機能スコアが有意に改善し、脳梗塞サイズも有意に減少した。また、F4/80の免疫染色による活性化ミクログリア・Mφの脳梗塞領域への浸潤も、MHP1を投与したマウスでは、抑制される傾向にあった。 また、MHP1に脳梗塞後の静注、および皮下投与により麻痺肢の破骨細胞の活性化を引き起こすことがないか、脳梗塞2日後の麻痺肢橈骨の遠位関節におけるTRAP染色において検討を行った。結果、正常マウスに比較し、生食投与脳梗塞マウスではTRAP陽性細胞が増加したが、MHP1を投与したマウスでは、TRAP陽性細胞の発現が低下する傾向にあった。 以上の結果から、MHP1は全身投与でも脳梗塞後の炎症を抑制し、脳梗塞による神経機能障害を改善しうるとともに、麻痺肢における破骨細胞の活性も抑制しうることが示された。 。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画した予定どおり、MHP-1による脳梗塞モデルマウスにおける治療効果が確認されたことから、おおむね順調に進展していると判断している。
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度は当初の予定どおり、MHP-1によるミクログリア由来の炎症性サイトカインの発現抑制機序の解明を進めていく予定である。
|