研究課題
脳梗塞発症後の治療に関して、血栓溶解のために適応症例に用いられているt-PAに対してラジカルスカベンジャーのエダラボンとの併用がtPAによる出血作用を抑制することやそのメカニズムを明らかにしている(Yagi et al., Stroke 2009)。しかし、t-PAによる恩恵を受けられる症例は10%未満であり、脳梗塞発症後の有効な治療法の開発が期待されている。近年、脳梗塞後の炎症や免疫作用に着目した研究が増加しているが、マクロファージの役割についての詳細な検討は十分なされていない。マクロファージは主にM1様マクロファージ、M2様マクロファージの2種類のタイプに分けられる(右図)。マクロファージは賦活化されるタイプによって作用が異なる可能性があるため、マクロファージの脳虚血後の作用をよりわかりやすくするためにマクロファージ賦活作用のあるGcMAF(Gc protein macrophage activating factor)を用いてその影響や分子機構について検討した。血清糖タンパクであるGc proteinは炎症によって誘導されるβ-galactosidaseやsialidaseといった酵素によりGcMAFに変化する。このGcMAFによりマクロファージは強力に活性化されると報告されているが、脳虚血におけるGcMAFによるマクロファージ賦活化の影響はこれまでに検討されていない。昨年までの研究から虚血の後期におけるGcMAFによる治療は脳梗塞部位のclearanceやM2様マクロファージの発現を増加させることにより、M2様マクロファージの発現増加が神経再生と関連することを明らかにした。成果をまとめて国内外の学会で発表しているが、GcMAFによるM2様マクロファージの活性化が脳梗塞の神経再生に対して働く詳細なメカニズムについて検討中である。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (6件)
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