研究課題/領域番号 |
15K10311
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
有田 和徳 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (90212646)
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研究分担者 |
時村 洋 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (50227568)
宮田 篤郎 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (60183969)
栗原 崇 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (60282745)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 脳卒中後疼痛 / 視床痛 / ミクログリア / p38 MAPキナーゼ / 中枢神経障害性疼痛 / 抑うつ行動 / 尾懸垂試験 |
研究実績の概要 |
脳卒中後疼痛 (central post-stroke pain; CPSP) モデルマウスにおける基礎的な中枢神経障害性疼痛・情動行動、およびp38MAPキナーゼ阻害薬の効果に関するさらなるデータ取得に努めた。疼痛行動試験として、新たにvonFrey刺激毛を用いた機械的疼痛閾値測定試験を行い、Dynamic plantar aesthesiometerを用いた機械的疼痛閾値測定より明瞭な閾値低下 (機械的アロディニア) を観察することに成功した。また、vonFrey刺激毛を用いた疼痛試験と情動行動試験(自発運動量測定と尾懸垂試験)を組み合わせて行うと、自発運動量および尾懸垂試験 (抑うつ行動試験) における有意な行動量変化 (自発運動量増加および尾懸垂試験における無動時間の延長) をより明瞭に観察することが可能となった。ミクログリア活性化阻害薬ミノサイクリン (50mg/kg, i.p.) は以前の我々の報告同様、von Frey刺激毛を用いて観察した機械的アロディニアを抑制するとともに、上記両情動行動試験の有意な行動量変化を抑制したが、2種のp38MAPキナーゼ阻害薬 (losmapimodおよびdoramapimod:10-30mg/kg, i.p.) は、機械的アロディニアを抑制する一方、両情動行動試験に対してはいずれも有意な効果を示さなかった。すなわち、本CPSPモデルマウスにおける情動行動変化はミノサイクリン感受性であるが、p38MAPキナーゼ阻害薬非感受性であった。CPSPモデルマウスの情動行動異常発症には、脳ミクログリアにおけるp38MAPキナーゼ活性化以外の情報伝達経路の関与が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスCPSPモデルにおける安定した機械的アロディニアおよび情動行動異常の検出法を確立できた。また、本モデルを神経型電位依存性Caチャネル欠損マウスに適用し、行動解析を継続している。あわせて、ミクログリアの形態解析、p38MAPキナーゼ活性化解析を開始している。 経頭蓋in vivo イメージング (内因性フラビン蛋白蛍光イメージング) 法を適用した解析も進行している。CPSPモデルにおいては大脳皮質感覚野の応答 (後肢機械刺激により誘発) は、出血反対側と比較して減弱していた。一方、陽性対照として用いた後肢遷延性炎症性疼痛モデルにおいては、炎症により応答は増強し、陰性対照 (コラゲナーゼの代わりに生理食塩水を投与) では若干の減弱が認められた。現在、薬物投与の効果を検討中である。 また、cDNAマイクロアレイおよびプロテオミクス法を用いた発現変動解析を安定的に行うため、病変部の試料作製方法の条件設定を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
実験動物飼育施設のスペースの関係から、ミクログリア特異的Caチャネル欠損マウスの導入が遅れていたが (本年7月には解決予定)、早期導入に向けた調整を行い、行動実験を開始する。 p38MAPキナーゼには少なくとも4種類のアイソフォームが存在するが、これまで各アイソフォームに特異的な阻害剤は存在せず、また各アイソフォーム欠損マウスを用いた神経機能解析も、疼痛行動を始め十分な情報は得られていない。申請者らの共同研究者は最近、p38MAPキナーゼ各アイソフォームの恒常活性型作製に成功しており、視床腹外側核に導入することでどのような疼痛行動変化を生じるか、早期に共同研究を行う合意に達している。
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