研究課題
脳卒中後疼痛(central post-stroke pain; CPSP)モデルマウスにおける安定した機械的アロディニア反応および情動行動(自発運動量測定、尾懸垂試験)異常の検出法を確立し、ミクログリア活性化阻害薬(ミノサイクリン)、およびp38MAPキナーゼ阻害薬(ロスマピモド、ドラマピモド)腹腔内投与の効果を検討した。すなわち、機械的アロディニア反応はミノサイクリン、p38阻害薬両者共に有意な抑制効果を示したが、情動行動変化はミノサイクリン感受性/p38阻害薬非感受性であった。従って、CPSPモデルマウスの情動行動異常発症には、脳ミクログリアにおけるp38MAPキナーゼ活性化以外の情報伝達経路の関与が示唆された。本モデルを神経型(Cav2.2および2.3)電位依存性Caチャネル欠損(全身性)マウスに適用したところ、vonFrey刺激毛を用いた機械的閾値測定では、野生型と比べ閾値低下の程度が減弱していたが、有意では無かった(Dynamic plantar aesthesiometerを用いた機械的閾値測定で観察された有意な機械的アロディニア発症抑制効果とは対照的であった)。この結果は、機械的閾値測定原理(前者は主にAβ線維刺激由来の、後者は加えてAδおよびC線維刺激由来の機械的疼痛を検出)を反映し、Cav2.2および2.3は、Aβ線維刺激由来の機械的アロディニア発症への関与は少ないことを示唆している。CPSP発症メカニズムの検討のため、病変部組織を用いたcDNAマイクロアレイおよびプロテオミクス解析の検討を行い、安定した解析のためには、ペナンブラ領域を注意深く設定することが極めて重要であることが示唆された。CPSP発症とともに発現変動する複数の分子を既に見い出しだが、CPSP発症との関連性に関しては、今後の検討による。
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