研究課題
脳血管性認知症の治療の原因として提唱されている脳小血管病(Cerebral small vessel disease; CSVD)を治療ターゲットとする必 要がある。CSVDにおいては、ペリサイト、血管内皮細胞、アストロサイトと構成するneurovascular unit (NVU) が破綻することによって血液脳関門の機能が低下し、脳認知機能の障害が生じると考えられているが、移植された骨髄間葉系幹細胞(Mesencymal stromal stem cell, MSC)は、血管新生やリモデリング、微小血管系の構造的安定化,血流調節に関わっているために、治療効果を発揮する可能性が高い。脳卒中易発症ラット(Stroke-prone SHR; SHRSP)は、全例が脳卒中を自然に発症する唯一のモデル動物として知られる。本モデルは 症状の発現が緩徐であり、中大脳動脈閉塞モデルとは異なり、慢性期脳血流不全、多発性脳梗塞あるいは多発性脳内微小出血を呈するため、脳血管性認知症モデル動物しての使用が可能である。本申請では、同ラットに対して、MSCの静脈内投与を行い、生理学的、行動学的、神経放射線学的(MRI)および組織学的に解析し、同細胞移植による脳血管性認知症に対する治療効果の検討を行う。現在、本研究費によって、CSVDモデルに対するMSC移植による治療効果の免疫学的解析、遺伝学的解析を行い、良好な結果が得られたため、現在は研究成果を論文にまとめている。以上のように、補助金は、補助条件に従って、有効に使用されている。