研究実績の概要 |
平成27年度中に頚動脈内膜剥離術(CEA)は40例施行した。このうち、脳血流SPECTで脳血流が低下している今研究の対象症例は40例中8例(20%)であり、その頻度・症例数は当初の計画通りであった。これら、8例に以下のすべての検査を施行できた。 1)術前および術後3カ月後に123I-iomazenil脳SPECTによる大脳皮質神経細胞のベンゾジアゼピン・レセプター結合能の測定。装置は島津社製SET-090を用い、方法は「Chida: Cerebrovasc Dis. 2010」に従って行った。2)術前および術後3カ月後に18F-Fluoro-α-methyl-L-Tyrosine、anti-18F-FACBC、11C-methionine PETよる大脳皮質アミノ酸代謝の測定。装置は島津社製HEADTOME Ⅵを用い、方法はそれぞれ「Inoue: J Nucl Med, 1998、Schuster: J Nucl Med, 2007、Kajimoto: Ann Nucl Med, 2007」に従って行った。3)術前および術後3カ月後に神経心理検査による認知機能の測定。検査項目は、WAIS-R、WMS-R、Rey test の3項目を行った。 対象症例8例中認知機能は3例(38%)で術後改善し、当初の想定である「30-50%が術後認知機能改善を示(Yoshida K, Ogasawara K, et al. Neurol Med Chir (Tokyo). 2012)」と一致していた。視覚的には術後認知機能改善例は大脳皮質神経細胞のベンゾジアゼピン・レセプター結合能が改善し、この改善部位に一致して3種の大脳皮質アミノ酸代謝が改善している傾向が確認された。しかし画像統計ソフトである3D-SSPで検討するにはまだ十分なサンプルサイズはなく、来年度以降に検討することとした。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、現在の症例数同じ数で推移し、また検査も予定通りいけば「CEAを予定している120例(2.5年間)中脳血流SPECTで脳血流が低下している症例を対象。脳血流が低下している症例は全症例の25%と予想し、30例を想定。脳血流が低下している症例に限定するとその30-50%が術後認知機能改善を示すことが想定され(Yoshida K, Ogasawara K, et al. Neurol Med Chir (Tokyo). 2012)、改善群10-15例、非改善群20-15例となり、非改善群を対照として各改善症例を3D-SSPで検討するには十分なサンプルサイズを有する。」という当初医計画に合致する。
|