研究実績の概要 |
平成28年度中に頚動脈内膜剥離術(CEA)は38例施行した。このうち、脳血流SPECTで脳血流が術前に低下していた本研究の対象症例は7例(18%)であり、その頻度・症例数は当初の計画通りであった。このうち、7例全例に以下のすべての検査を施行できた。 1)術前および術後3カ月後に123I-iomazenil脳SPECTによる大脳皮質神経細胞ベンゾジアゼピン・レセプター結合能の測定。装置は島津社製SET-090を用い、方法は「Chida: Cerebrovasc Dis, 2010」に準じて行った。2)術前および術後3カ月後に18F-Fkuoro-α-methyl-L-Tyrosine、anti-18F-FACBC、11C-methionine PETによる大脳皮質アミノ酸代謝の測定。装置は島津社製HEADTOMEⅥを用い、方法はそれぞれ「Inoue: J Nucl Med, 1988、Schuster: J Nucl Med, 2007、Kajimoto: Ann Nucl Med, 2007」に準じて行った。3)術前および術後3カ月後に神経心理検査による認知機能の測定。検査項目は、WAIS-R、WMS-R、Rey testの3項目を行った。 昨年の8例を合わせた15例中、認知機能は6例(40%)で術後改善した。当初の想定通りである「30-50%が術後認知機能改善を示す(Yoshida K, Ogasawara K, et al. Neurol Med Chir 2012)と一致していた。視覚的には術後認知機能改善例は大脳皮質神経細胞ベンゾジアゼピン・レセプター結合能が改善し、この改善部位に一致して3種の大脳皮質アミノ酸代謝が改善していた。平成29年度に画像解析ソフトである3D-SSPを用いて定量化し、統計学学的な解析を行う予定である。
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