研究課題/領域番号 |
15K10319
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
長谷川 光広 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (70218460)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | retrograde degeneration / facial nerve / facial nucleus / brainstem / avulsion injusry |
研究実績の概要 |
重症ならびに中等度の頭蓋内外顔面神経軸索損傷・逆行性変性ラットモデルを作成し、軸索損傷後の脳幹内顔面神経核の逆行性神経細胞変性のメカニズムを時間的空間的に解析した。各種逆行性変性抑制因子を想定し変性抑制作用とその機序を検討した。既に以下の諸因子の関与を予備実験で確認している。A) 末梢神経組織;脳幹内への末梢神経移植により神経脱落を20%抑制、B) エリスロポイエチンは造血因子である一方NO 抑制作用も併せ持ち、本モデルの逆行性神経脱落を抑制し、これに顔面神経核におけるNADPH の発現が相関、C) MMP(matrix metalloproteinases)群;この損傷系には発生段階の細胞の遊走・移動のみでなく、炎症、組織修復を調節するMMP 群、特にMMP-9 が損傷後早期の白血球やマクロファージなどの炎症性細胞の遊走に関与、D) ガレンクチン群;ヒトレコンビナントgalectin-1/ox 投与はmacrophage と関連してシュワン細胞の遊走能を高め損傷初期修復過程を促進して軸索再生に働く。顔面神経核はgalectin-1 を高発現し、損傷後にはupregulate されることをin situ hybridization で確認。損傷後の反応性Schwann 細胞はある種の条件下で中枢神経内に遊走しうる、等である。今回、Ca2+チャネルブロッカー(Pregabalin: α2δリガンド)の投与により、脳槽内顔面神経損傷モデルにおいて脳幹内顔面神経核細胞の生存がDay 14, Day28ともに優位に維持された(p>0.01)。また、活性型マイクログリアの活性がDay3ならびにDay8で抑制された。今後、免疫抑制剤の作用を検討する予定で、さらなる中枢神経軸索の変性を抑制、再生を促す因子を解明することで、脳神経再生を臨床への応用の足がかりを探求することを目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ある種のCaブロッカーによる一定の知見が得られている
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今後の研究の推進方策 |
今後、免疫抑制剤の作用を検討する予定で、さらなる中枢神経軸索の変性を抑制、再生を促す因子を解明することで、脳神経再生を臨床への応用の足がかりを探求することを目指している。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の研究が予定よりも早く達成されそうであったため。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度の計画の予備実験を現在進めている。
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