研究課題/領域番号 |
15K10320
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
宮地 茂 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (00293697)
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研究分担者 |
永野 佳孝 愛知工科大学, 工学部, 教授(移行) (40610142)
大西 宏之 大阪医科大学, 医学部, 非常勤講師 (10641657)
平松 亮 大阪医科大学, 医学部, 助教 (40609707)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 血管内治療ロボット / 血管内治療 / ガイドワイヤ / 挿入力 / 制御支援 / 被曝 / 遠隔治療 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ロボットによる遠隔操作手術を実現することで、累積被曝の問題解消を目指すための血管内治療ロボットの開発である。これまで、マスター側の動きを忠実に再現するためのスレーブ側の動きの確認をおこなうとともに、ワイヤの押し引き力の計測を行った。具体的なスペックは、1 N以上のワイヤ挿入力を可能とし、センサのセンシング精度も0.05 N以下とした。また、カテーテル治療はワイヤの力覚を伴う繊細な操作が必要であるため、直接な力覚フィードバックでは潜在的に制御系の安定性問題がある。ロボットはワイヤの送り出し時の反力を検出するが、その反力を視覚と聴覚で提示する操作デザインとした。 操作部にはアナログスティックを使用することで、アクチュエータの簡易的な操作を可能にした。操作方法としては、スティックを前後に傾けることでローラアクチュエータがワイヤの押し引きを行い、左右に傾けることで本体が左右にねじりを行う構造とした。 送り出し機構は、2つのローラでワイヤを挟み込みモータで押し出す形になっている。このローラ駆動部全体を箱で囲み、底にスライドレールを取り付けた。送り出しの時に反力で駆動部全体の箱がスライドをし、後方に設置したフォースセンサで挿入力を測定する。センサ部と駆動部の間には、センサ出力を安定させるために予圧ばねを設置した。 操作試験として模擬血管の内部に水を入れた状態でガイドワイヤの挿入試験を行った。ガイドワイヤの先端は湾曲しており、先端の方向を変えることで任意の方向へガイドワイヤの挿入を行うことができた。 試作機を用いて挿入力の最大値と測定精度の試験を行った。模擬血管に血管壁に見立てたゴムを詰め、ワイヤの挿入を行った。最大約1.2 Nの挿入力が発生できることを確認した。測定精度試験では、無負荷時に前進後退をしたとき±0.04 Nの誤差であり、最大値および精度とも目標値を満足した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロボットの動作制御は今年度でかなり正確となったことで、以下の二つの成果が得られ、ほぼ本年度の目標は達成できたと考えている。 (1)アナログジョイススティックを用いて模擬血管の分岐移動操作ができることを確認した (2)ワイヤの最大挿入力は最大約1.2 N、その測定誤差は±0.04 Nであり、目標値を達成した
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今後の研究の推進方策 |
本体の回転角度が90度を超えたあたりから、フォースセンサの値に約0.1 Nの誤差が出てしまった。原因としては、送り出し機構の機械的な隙間によって発生したと思われる。今後は、この隙間に支持器を設置するなどして埋める必要がある。また、実際の生体を模した血管モデルを用いて、実際の手技のシミュレーションを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定より実験が遅れ、精巧なシミュレーションモデルによるテストが実現しなかったため、それに必要な機器の購入が遅れたため。
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次年度使用額の使用計画 |
最終目標である生体シミュレーションモデルを来期早々に構築し、実験を始める予定であり、モデルの構築及び実験に掛かる費用に充当する。特にカテーテルを動かすモターの小型化のために新たなデバイスを購入する。
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