研究課題/領域番号 |
15K10321
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
吉村 紳一 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (40240353)
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研究分担者 |
立林 洸太朗 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (90759127) [辞退]
内田 和孝 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10570674)
田中 康恵 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (30723499) [辞退]
白川 学 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (50425112)
徳田 良 兵庫医科大学, 医学部, 病院助手 (70760015) [辞退]
津田賀 俊 兵庫医科大学, 医学部, レジデント (20759104) [辞退]
松山 知弘 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10219529)
高木 俊範 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (00452152)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 脂肪組織由来幹細胞 / 間葉系幹細胞 / 脳梗塞 / 細胞治療 |
研究実績の概要 |
当科の脂肪を採取する手術症例から同意取得後にヒト脂肪組織を採取した。得られたヒト脂肪組織に対し、添加血清による培養効率を検討し、将来的な臨床応用の可能性を十分に考慮し、無血清培地を選択して脂肪組織由来幹細胞(hADSC)を確立した。 まず無血清培地にて培養したhADSCの増殖能や分化能・細胞特性の検討を行った。培養効率は良好であり、FACS(fluorescence activated cell sorting)を用いた表面抗原の検討では、CD90、CD44、CD105、CD73が高発現しており、間葉系幹細胞の要件を満たしていた。また分化試験により、神経・脂肪・骨への分化を確認した。また将来的な急性期の他家移植を想定し、凍結・解凍による細胞傷害を検討したところ、hADSCは凍結保存・解凍の操作によっても96.4%の細胞が生存していた。 次にマウス脳梗塞モデルを用いたhADSCの神経機能改善効果を検討した。CB-17マウスを用い、開頭・凝固切断による中大脳動脈閉塞による脳梗塞モデルを作成し、脳虚血誘導24時間後にhADSC1,000,000個を静脈内投与した。hADSC投与4-5週後に行動学的評価を行ったところ、オープンフィールドテスト・テイルサスペンションテスト・オープンスイミングテストでそれぞれhADSC静注群において行動学的な改善を認めた。これらの行動学的試験の結果を総合的に評価すると、脳梗塞による運動機能や活動性の低下が、hADSCの静脈内投与により改善すると考えられた。今後はその神経機能改善効果のメカニズムの解明と、臨床試験に向けた準備を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度はまずhADSCの培養法を含めた確立に成功し、その間葉系幹細胞としての性格の確認、凍結による影響の検討が終了した。またマウス脳梗塞モデルを用い、in vivoでのhADSCの静脈内投与による神経保護効果を示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
hADSCの静脈内投与による脳梗塞に対する神経機能改善効果を示すことはできており、平成29年度はそのメカニズムの検討を、特に免疫応答を中心に評価していく。合わせて、ヒトへの臨床応用を目指すべく、臨床研究の準備を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は概ね予定通り使用できたが、2月から3月に予定していた実験が延期となったため、そこで使用する予定であった研究費が次年度へ繰り越された。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度4月から同実験を開始しており、この実験に使用する。
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