研究課題
近年の医療技術の著しい進歩にも関わらず、浸潤性に発育する悪性グリオーマ治療は抜本的な改善に至っていないのが現状である。我々はこれまでにiPS細胞作製に必須の山中因子の一つであるOct-3/4がグリオーマの様々な予後不良(腫瘍幹細胞性、浸潤、血管新生、薬剤耐性)に正の相関を示すことを見いだしてきた。本研究はOct-3/4の発現を抑制する化合物を探索し、グリオーマ治療の「万能薬」として開発していくことを目標としている。平成30年度はOct-3/4プロモーター下でGFPを発現するヒト膠芽腫T98G細胞(T98G/Oct-p-GFP)を用い、金沢大学がん伸展研究所より供与を受けた化合物ライブラリーのスクリーニングをおこなったにより得られた化合物について、二次スクリーニングならびにOct-3/4抑制によるグリオーマ悪性化の改善効果を検討した。T98G/Oct-p-GFP 細胞はヒトOct-3/4-p-GFPプラスミドを遺伝子導入し、薬剤選別後に限界希釈法を用いてシングルセルクローニングにより樹立した。FDAで承認されている化合物ライブラリー(640種)に加え、平成30年度は天然物由来化合物(502種類)を用いてGFPの蛍光強度減弱を指標にスクリーニングを行った。FDAライブラリーからは大きく分けて4つのグループに分けられる薬剤、天然物由来化合物からは5種類を得た。現在、臨床的にも有用性が高そうな化合物ならびに予防的に摂取可能な化合物に注目し、Oct-3/4によって機能亢進が認められたグリオーマ悪性因子がどのように変化するか検討し、腫瘍幹細胞性、浸潤、血管新生、薬剤耐性などに一定の効果があることを確認した。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
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