研究課題
グリオーマにおいて、免疫チェックポイント阻害薬とワクチン療法の併用が効果的かを実証するために研究を実施している。まず我々は、膠芽腫に対する標準療法あるいは腫瘍ワクチンの併用療法において、早期の再発例は予後不良となることが多いという事実に注目し、16例の膠芽腫症例に対し、初回時と再発時の腫瘍組織切片を免疫染色などの方法により解析を行った。結果として、初回と再発時 のCD45RO、CD20などの陽性細胞スコアに関しては有意差を認めないのに対し、CD3、CD8、PD-1陽性細胞は再発時に有意な上昇を認めた 。再発時にPD-1陽性細胞スコアが高値となった症例群とならなかった症例群に群分けすると、ワクチン投与後早期再発例の全例が前者に含まれた。また、再発時PD-1陽性細胞スコア高値群は再発までの期間が延長する傾向を有するとともに、再発からの予後が有意に不良であった。再発時にPD-1陽性細胞スコアが高値となる症例は、再発からの予後不良因子であることが示唆された。また、PDL-1についても有意差は認めないものの同様の傾向を認めた。上記の臨床データーを参考に、まずvitroでマウス人工グリオーマ幹細胞やマウスグリオーマ細胞に化学療法剤(テモゾロマイド)やインターフェロンγ投与を行ったところ、PDL-1発現は両者とも上昇傾向を認め、両者の併用により有意な上昇を認めた。また、vivoの研究において、化学療法耐性のマウス人工グリオーマ幹細胞は通常のものと比較し、PD-L1の発現が上昇していた。この結果は、特に再発時のグリオーマにおいて、免疫チェックポイント機構が関与していることを示唆するものであった。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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